前戦を終えた時点で田中千夏選手が52ポイント、貴島康博選手が51ポイント、東源夏樹選手が50ポイントと3人が僅差となっていたが、最終戦は東源選手が欠場のため、田中選手と貴島選手の一騎打ちとなったタイトル争い。どちらかが前でゴールした方がチャンピオンというシンプルな図式だ。
そんなタイトル争いを余所に予選から速さを見せたのがスポット参戦の輿水好則選手だった。セッション序盤に1分07秒375を出し、ポールポジションを獲得。周回数も抑えており、決勝に向けて準備万端と言ったところ。2番手に暫定ポイントリーダーの田中選手が1分07秒754で続き、3番手には、セッション序盤はスピンがあったものの、落ち着いてセッション終盤に1分07秒861をマークした貴島選手が3番手につけ、トップ3が1分07秒台。4番手に1分08秒017の荒川智弘選手、5番手に1分08秒094の近藤隆一選手、6番手に1分08秒280の須田真二選手、7番手に1分08秒340の佐藤千里選手、8番手に1分08秒341の八代勝也選手、9番手に1分08秒377の室岡嘉浩選手、10番手に1分08秒627の内田恒雄選手、11番手に1分08秒830の井下田馨選手、12番手に1分08秒914の竹井明代選手と続き、ここまでが1分08秒台をマークした。
そして運命のスタートを迎える。ポールポジションの輿水選手、そして2番手グリッドの田中選手が好スタートを切り、田中選手が輿水選手に並びかけるが、しっかり輿水選手がインを抑え1コーナーへトップで入って行き、田中選手、貴島選手、荒川選手、近藤選手、須田選手と続く。輿水選手がレースを引っ張り、田中選手がピタリとマーク。やや感覚を空けて貴島選手が続いていた。序盤ペースが上がらないかと思われた貴島選手だったが、最初の3周は、様子を見ながらタイヤをセーブする作戦だった。その後方では、近藤選手が荒川選手をかわし4番手に浮上して来る。
その後、レースは小康状態に入ってくるが、輿水選手がジリジリと2番手以下との差を広げ始める。これを追いたい田中選手の後方には、貴島選手がピタリとつけていた。そしてレース中盤が過ぎたところで、田中選手のマシンに、やや息つきを起こす症状が出てくる。これを見逃さなかった貴島選手はアタックを開始。13周目の第2ヘアピンでクロスラインを取った貴島選手は、バックストレートで田中選手に並び最終コーナーではイン側を取っていく。田中選手も引かず両者は併走したまま最終コーナーをクリア。1コーナーでインを取った貴島選手は“前に出られた”と思ったが、ここで何と田中選手が、そのままアウトからかぶせていった。これには貴島選手も“田中選手ハンパねー!”と驚いたが、さすがの田中選手もアウトにはらんでしまい、グラベルに出てしまい失速。この田中選手に近藤選手が並んで行くが、第1ヘアピンで強引にインを取った田中選手がポジションを死守。貴島選手のテールを追って行くが…。
トップを走る輿水選手は、終始安定した速さを見せポールtoフィニッシュで最終戦を制した。2位に貴島選手が入り、見事逆転でシリーズチャンピオンを獲得。田中選手は3位となり、惜しくもランキング2位となった。4位に近藤選手、5位に荒川選手と続き、以下、須田選手、八代選手、佐藤選手、内田選手、室岡選手、井下田選手と僅差でチェッカーフラッグを受けた。
スポット参戦の#77輿水好則選手が予選では2番手の田中千夏選手を0秒379引き離しポールポジション。決勝でも一度もトップを譲ることなくチェッカー。
実は前回は予選でミッショントラブルがあり、今回が初めてノントラブルで予選、決勝を戦うことができたと言う#9貴島康博選手。見事シリーズチャンピオンに輝いた。
#9貴島選手とのバトルに惜しくも敗れた#11田中千夏選手だったが、全力を出し切ったという、清々しい表情を見せ、ライバルを讃えていた。
マシンを降りた貴島選手は、田中選手に駆け寄り、バトルで非礼がなかったかを確認しお互いを称え合った。僅か1ポイント差でタイトルは貴島選手が獲得という結末だった。
優勝
輿水好則選手
2位
貴島康博選手
3位
田中千夏選手