2016シーズンの第5戦を迎えたJAF筑波スーパーFJ選手権シリーズ。今回のレースを含む残り2戦となって、ランキングの行方も気になる。他シリーズでは最終戦を待たずしてシリーズチャンピオンを獲得しているKAMIKAZE選手が、ここ筑波シリーズでも現在ランキングトップ。第4戦では今シーズン初となる優勝を飾り絶好調だ。そのKAMIKAZE選手を追いかけるのは、シーズンスタート2連勝と好調だったものの、第3戦リタイア、第4戦ジャンプスタートでペナルティと、やや流れが悪くなってしまっている金澤力也選手、そして今シーズン、スーパーFJデビューし、第3戦では初優勝を達成した小村明生選手も虎視眈々と勝利を狙っていた。マスターズで見るとKAMIKAZE選手に続く2番手に、総合での表彰台には乗らないものの常に4位フィニッシュでポイントランキングも4番手の秋山健也選手が健闘している。
シリーズ第5戦を迎えたこの日の筑波周辺は、早朝はサーキットが霧に包まれていた。そして、前日の雨もあって路面はウエット。しかし、この日の走行がスタートするころには陽も顔を出し、路面も徐々に乾いていく。
スーパーFJの予選セッションは午前8時40分からの20分間。この時間、まだコースの一部が完全に乾いていないタイミングでの予選アタックとなった。好調のKAMIKAZE選手が、セッション中盤に59秒424のトップタイムをマーク。このタイムで問題ないと見たチームはKAMIKAZE選手とマシンをピットへと戻す。一方の金澤選手、小村選手ともアタックを続け、セッション最終盤、若干コース状況がよくなったタイミングでまず金澤選手、続いて小村選手がそれぞれタイムアップ。ポールポジションは59秒276の金澤選手が獲得。59秒381で続く2番手には小村選手が入った。KAMIKAZE選手はタイヤ温存ということで再アタックをせず、3番手に収まった。
ポールポジションを獲得した金澤選手は、「決勝では前回スタートに失敗してしまったので今回は冷静にいきたい」と、ここ2戦の悪い流れから脱却しタイトル争いに弾みをつけたいところ。その金澤選手を1ポイント差で追う小村選手も「最低限のことはやり切りましたし、タイム差はそれほどないのでまずまずの予選結果だと思います。レースでは離されてしまうことなく、しっかり勝負して、残りのレースはともに勝ってタイトルを決めるよう攻めるのみです」と気合いが入る。
KAMIKAZE選手は「最後残りの3分まではトップタイムだったので、ポール獲得と思っていたのですが、甘かったですねぇ。でもこのタイムはウエットでラインを外しながらのタイムだったので上出来でしょう。今回も表彰台を外さずに確実にポイントを獲っていきたいですね」とコメント。
そして決勝。スタートをうまく決めたのは小村選手。1コーナーに真っ先に飛び込んだ。続いて金澤選手。KAMIKAZE選手も1コーナーの入り口で金澤選手の横に並びかけたものの、無理をすることなく3番手キープ。小村選手は、後続を抑えながら周回を重ね、トップは、小村・金澤・KAMIKAZE・横地昌重・秋山の5台の集団となりレースは進行していく。
7周目の1コーナーで、ようやく金澤選手が小村選手をかわしてトップに立つ。その後は徐々に5台の間隔も離れていくが、順位の変動はなく、18周のレースは終了した。しかし、トップでチェッカーフラッグを受けた金澤選手は、ピットインせずにスローダウンしホームストレートに戻ってきてしまう。SCCNでは暫定表彰をコントロールタワーのパドック側で行っており、ブリーフィングでも説明があったことから、筑波サーキット一般競技規則 第36条 1.違反(イエローラインカット)と判断され、競技結果から1周減算という裁定がくだされてしまう。この結果、それぞれ順位が繰り上がり、小村選手が優勝、KAMIKAZE選手が2位、横地選手が3位という結果となった。ポイントランキングでは、KAMIKAZE選手が77ポイント、小村選手が65ポイントとなり、タイトル決定は最終戦に持ち越されることになった。
レース後半で離されてしまうことを克服、と今回も自らの課題を設定しこれをクリアした小村選手。思わぬ形でシーズン2勝目を挙げたが、今回も成長が見られる一戦だった。
「右腕がつってしまった」というKAMIKAZE選手。他レースでも足がつったという選手もいたが、急に気温が上昇したこの日のコンディションは厳しかった。
若い2人のドライバーと、マスターズらしい、いぶし銀の走りで確実に表彰台を抑えるベテラン、この3人の勝負の行方は11月13日に持ち越された。
不本意なレースとなってしまった金澤力也選手。筑波SスーパーFJとJAF-F4東日本にダブルエントリーしており、最終戦への出場は、現時点では分からないと言う。
優勝
小村明生選手
2位
KAMIKAZE選手
3位
横地昌重選手