筑波シリーズ ≪開催レポート≫

JAF筑波サーキットトライアル選手権シリーズ

筑波シリーズトップページ

レポートメニュー/ MENU

筑波19ランキングを見る

筑波サーキットキャラクター

わずか2ポイント差で最終戦を迎えたB1、B2クラスは
望月裕司選手と中澤伸幸選手が初タイトルを獲得

2019 JAF筑波サーキットトライアル選手権シリーズ第5戦[11月2日(土)開催]

4月7日の第1戦を皮切りに、全5戦でタイトルを争ってきた2019年サーキットトライアル選手権。11月とは思えないほど穏やかな、文化の日を挟む三連休の初日に開催となった最終戦で、全5クラスのタイトルが決まるとあって、和やかな中にも緊張感が漂うタイムアタックが繰り広げられた。

ナンバー付きの車両で1周のラップタイムを競うサーキットトライアル選手権は、スポーツ走行や走行会より競技性が高く、レースよりも低いハードルで参加できるモータースポーツとして、筑波サーキットでは2014年からJAF地方選手権として開催されてきた。15~20分×2ヒートを走行した中のラップタイムのベストで順位が決まる明快なルールで、排気量や駆動方式などによってクラスを細かく分けることで多様な車両で参加できるのが特徴だ。

ゴールの着順ではなくラップタイムで順位が決まるとはいえ、コース上には一度に数多くの車両が存在するので(今回は東関東選手権と混走のため30台)、常に自分のベストが出せるわけではない。クリアラップを取るために前走車とのギャップを調整したり、自分より速いタイムの車両に引っ張ってもらうためにポジションを変更したりと、わずか15分の中にいくつもの駆け引きがある。「30台も走っていると、納得できるタイムアタックが2、3周できれば御の字です」と、あるクラスのチャンピオンが語るように、サーキットトライアルは想像以上に競技性が高いのだ。

またシリーズ戦とすることで、一発勝負ではなく一年を通してコンスタントな成績を出し続ける安定性も求められる。本当に1周だけのタイムを求めてスペシャルアタックを行うなら、気温や湿度が低い冬場に行う方が記録が期待できる。しかしサーキットトライアルは晴れの日だけでなく、雨の中でもカンカン照りの真夏にも行われる。年間タイトルを狙おうとすれば、気候や条件が異なる中でもライバルたちを上回るタイムを記録することが求めらるわけで、緊張感や駆け引きや作戦立てという点でも醍醐味がある。

B1、B2、B4、B5、B6の全5クラスのうち、B4クラスとB6クラスは前戦にてシリーズチャンピオンが決定した一方で、B1クラスとB2クラスは前戦終了時点で1位と2位の差がそれぞれわずか2ポイントと、一発逆転も大いにあり得る状況で14時15分からタイムアタックが始まった。

2014年の選手権開催初年度から2018年までB1クラスの王者を一度も譲ったことのない吉崎久善選手は、ここまで柴田尚選手と並ぶ62ポイントで3位のポジション。それより2ポイントだけ上回る64ポイントなのが、今年からサーキットトライアル参戦を始めたAE86トレノの望月裕司選手。ここまでの勝利数は望月選手が2勝、柴田選手と吉崎選手が1勝ずつと接近しているが、まずは1本目で望月選手が1分09秒171をマーク。「気温20度はこの季節にしては高いのでヒートする前に勝負を掛けたいですが、前輪荷重が少なくタイヤが暖まるまでに時間が掛かるので痛し痒しです」というカプチーノの吉崎選手は1本目3番手。

望月選手は2ヒート目のアタック中、なんとシフトレバーが途中で折れるトラブルが発生したものの、1本目のベストタイムによってトップをキープして、参戦初年度でのシリーズチャンピオンを獲得。2位は1分09秒194の柴田選手、吉崎選手は1分09秒830で3位となり、4位に1分11秒038の直井浩選手という結果となった。

B2クラスも前戦までで67ポイントの中澤伸幸選手と65ポイントの日向孝之選手によるタイトル争いとなった。3年目となる日向選手は「他のマシンが少なからずロードスターより速いとは思われないコンパクトカーなので」という理由から、ノーマルサスペンションでの参戦を続けているが「コーナリング中にラインが変えられなくて危ない思いもしたので、来シーズンは足を入れるかもしれません」とコメント。ベストタイムは2本目の1分11秒149で2位となり、シリーズチャンピオンは2本目に1分10秒782をマークして1位となった中澤選手の手に輝いた。続く3位は1分13秒517の熊本壮一郎選手、4位には1ヒート目に1分13秒818を記録した太田高之選手が入った。

トヨタ86のワンメイククラスとなったB4クラスでは、前戦で念願のチャンピオンを獲得した市川忠康選手が2ヒートともただ一人1分07秒台をマーク。1本目の1分07秒745がベストタイムとなり全5戦を完全制覇。続く2位には1分08秒905を1本目に記録した小田桐弘幸選手、3位に1分10秒339の田中洋一選手、4位は1分10秒880の根塚昌宏選手となった。

B5クラスの森田正穂選手は、2014年にJAF選手権となって以降のサーキットトライアルで5年連続で年間タイトルを獲得してきたレジェンド。今年も前戦まで3勝を重ねて盤石の状態で最終戦を迎え、1分05秒632を2本目にマークして1位を獲得、今季4勝でチャンピオンに輝いた。2位には1分06秒485の芳田悟選手、菊池誠一郎選手は1分07秒555で3位となった。

2013年のプレシーズンから欠かさず参戦し、前戦の結果でついにチャンピオンとなったインプレッサの馬場元選手がエントリーするB6クラスは、王者の貫禄で馬場選手が2ヒートを制し2本目の1分02秒175で優勝。2位には1本目で1分02秒470を記録したもののエンジントラブルで2本目に出走できなかった蝶間林一夫選手、3位は2本目に1分02秒823の2016年クラスチャンピオン佐藤清貴選手が入った。続く4位には1分05秒762の永藤光雄選手、5位の高木七海選手は筑波サーキットトライアル2度目の参戦で1分21秒565をマークした。

B4クラスチャンピオン 市川忠康さん

レースとは異なる競技性の高さが魅力です
モータースポーツは12年ぐらい前から経験してきて、サーキットトライアルは2015年から参戦しています。この86でFISCOのチューニングカーレースにもエントリーしていましたが、予選から決勝までを一連の流れで考えて実践するレースに対して、車と自分のピークを一番良いところで一致させて一周のタイムに賭けるのがサーキットトライアルの醍醐味だと思います。混雑したコース上で前車との間隔、後続とのギャップを作りながら自分自身をタイムアタックしやすい場所に持って行くのもテクニックのひとつだと感じています。そういったドライビングプランを組み立てるのも好きなんです。今年のB4クラスは86のワンメイクみたいになったので、同一車種には負けたくないという気持ちが強く働いていますし、そのためにも他の86の皆さんと切磋琢磨していきたいと思っています。

B5クラスチャンピオン 森田正穂さん

クラス分けに翻弄されてますがタイムアタックは楽しいです
一周のラップタイムを求めはじめると、タイムアタックするなら冬場のうちでも日を選ぶみたいなことになるし、どうしてもチューニングに頼らざるを得なくなりますよね。それだと息が詰まるので、常に自己ベストやコースレコードを追い求めるばかりではなく、ベストじゃなくてもその日のラップタイムで誰が1番が決まるのが面白いと思って2014年から参戦しています。テクニカルコースの筑波はエリーゼで、同じレギュレーションで開催しているSUGOはパワーサーキットなのでFD3Sセブンで出ていますが、2018年に4駆車と別クラスになってちょっと気合いが入らないというのが正直なところです。エントラントがもっと増えるように間口を広げつつ、さらにエキサイティングな施策に期待しています。

B6クラスチャンピオン 馬場 元さん

成績が悪くても腐らず諦めない気持ちが重要ですね
40歳になってからたまたま体験したスポーツドライビングに一発ではまって、それまでオートマ車しか乗ってこなかったのにマニュアル車を買ってサーキットに通うようになりました。最初の頃は走るたびにタイムが上がるのが快感で、ちょうど同じ頃にサーキットトライアルが始まると知ったため2013年のプレシーズンから今のこのインプレッサでずっとエントリーを続けています。私自身、6シーズン目で初の年間チャンピオンを獲得しましたが、サーキットトライアルは出ている人のマナーが良く、仲間になってワイワイするのが楽しいですね。もちろん競技だから勝ちたいですし、思ったような結果が出なければフラストレーションが溜まります。けれど勝てなくても自己タイムが更新できれば納得できるし次戦へのモチベーションとなるのがサーキットトライアルならでは魅力だと思います。スプリントレースは目が三角になって人間関係がギクシャクしそうだし、家内からもレースは禁止されているので、これからもサーキットトライアルで腕を磨きます。

page_top