前戦より、約3カ月のインターバルをあけての開催となったS-FJ第4戦。今回の目玉は、2015年までこの筑波シリーズを戦い、翌2016年にはもてぎシリーズにて全戦優勝でチャンピオンを獲得した伊藤鷹志選手が、スポットで復活したことだった。当時の車両オーナーは、現在このレースでランキングトップを独走するKAMIKAZE選手。この師弟対決が今回のポイントとなった。
9時10分に始まった公式予選。序盤からKAMIKAZE選手がタイムアタックを開始。いつもの通り、早いタイミングでベストを叩き出すという作戦で、10周目に1分00秒557をマークしていた。一方の伊藤選手も、久しぶりの筑波での本番に身体を慣らすかのように、黙々とタイムを刻み、8周目で1分00秒580をマークしていた。予選アタックを早々に終え温存するKAMIKAZE選手とは対照的に、伊藤選手は「どうしてもポールポジションが欲しかった」と最後までタイムアタックを敢行。しかし、逆転することはできず、ポールポジションにKAMIKAZE選手、2番手に伊藤選手、そして3番手には1分00秒639をマークした杉本涼選手が続いた。
迎えた決勝レースでは、ポールスタートのKAMIKAZE選手がベテランの妙技で1コーナーを奪取。それに4番手スタートの秋山選手、杉本選手が続く展開となった。期待されたこの決勝レース、最初の見所は2周目の第1コーナー進入だった。ここで、果敢にKAMIKAZE選手のインをついた伊藤選手がトップへと浮上。「無理に寄せずに1台分、正々堂々とインを開けてくれていました。さすが、尊敬している先輩です」とレース後に語っていた伊藤選手は、そのまま後続との差を広げるべく最初から攻めの走りを見せる。KAMIKAZE選手もついていこうとするものの、本来のキレのある走りが見られず、逆に3番手争いを繰り広げる秋山選手と杉本選手と距離が縮まる展開になっていた。
トップを独走する伊藤選手。トップ追従よりも、後続からの追い上げから必死で逃げるKAMIKAZE選手。そして、目の前のライバルを捉えようと3番手争いの接戦を続けながら、上位進出を狙う秋山選手。緊迫した三者三様の状況が中盤以降続いていたが、順位は変わらず18周を終了。その結果、5周目にベストラップ1分01秒189をマークした伊藤選手がトップ独走のままチェッカー。遅れること約4秒8差でKAMIKAZE選手が2位。そして、杉本選手とのテールtoノーズのバトルをコンマ4秒差で抑え切った秋山選手が3位を獲得した。
「2015年参戦時は、万年3位のブロンズコレクターと呼ばれていました。あれから4年。初めて筑波で勝てたのが本当にうれしいです! 」表彰式後、このようにコメントを残してくれた伊藤選手だが、今後の参戦は未定とのこと。毎回、KAMIKAZE選手を筆頭とするベテラン勢を脅かす若手が参加しているだけに、今後のレースでも、新しい挑戦者が現れることに期待したい。
絶妙なスタートでホールショットを奪ったKAMIKAZE選手と、それを追いかける伊藤選手。2人のテールtoノーズの戦いは、この1周目から始まっていた。
2周目の1コーナーでKAMIKAZE選手のインを差した伊藤選手。「予想よりもKAMIKAZE選手がついてこなかったので、何かあったのかな? と思いました」
最後まで緊張感ある3位争いを繰り広げた秋山選手と杉本選手。このデッドヒートは最後まで続き、その結果秋山選手が3位でチェッカー。連続表彰台を獲得した。
総合8番手でゴールし、マスターズクラスのトップで表彰を受けた上吹越選手。次戦は他のレースに参戦するため欠場。そこで得た経験を元に、最終戦では総合上位入賞を目指す。
優勝
伊藤鷹志選手
2位
KAMIKAZE選手
3位
秋山健也選手
MASTERS 3位
上吹越哲也選手
MASTERS 4位
ユウジロウ選手
MASTERS 5位
林寛樹選手