筑波シリーズ ≪開催レポート≫

JAF筑波スーパーFJ選手権シリーズ第1戦

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ttc1400

八代勝也選手がポールtoフィニッシュでシリーズチャンピオンを獲得!

昨シーズンは常に15台前後のマシンで争われていた伝統のツーリングカーレースTTC1400。今シーズンはエントラントの陣容が大幅に変わるとともに参加台数も減少したが、最終戦にあたりTTC1400クラスを盛り上げるために昨シーズンのチャンピオンである貴島康博選手と山本純一選手がエントリー。もちろんここまでの4戦で3勝している八代勝也選手と、前戦でついに初優勝を飾りシリーズチャンピオンの権利を持つ荒川智弘選手の戦いも見逃せないポイントとなっていた。

9時15分、気温18度、路面温度21度の中で開始された予選は、荒川選手が序盤でトップタイムをマーク。「先頭でコースインしたものの、自分としては後ろについていきながら後半でタイムを出そうと思っていました。だけど後続がついてこなかったので、早めにタイムを出しておこうと切り替えてアタックしました。4周目にベストが出てマシンの動きはよかったのですがタイム的には今ひとつ納得できない中、八代選手も4番手か5番手ぐらいにいたので、いったん仕切り直すためにピットインしました」とコメント。その八代選手は5周を終えたところでピットイン。「コースイン直後にフロントタイヤの内圧が上がって固く感じたので調整しました。シーズン後半にマシンの前後バランスが課題になっていましたが、この修正でフィーリングはかなり改善されました」との言葉通り、予選周回数10周のうち9周目にベストタイム1分08秒283をマークしてポールポジションを獲得。2番手には1分08秒385の荒川選手、3番手には前戦4位でランキング5番手につける会沢主税選手が1分08秒557、4番手の山本純一選手が1分08秒560、5番手は昨シーズンのチャンピオン貴島康博選手が1分08秒789、6番手の有泉友博選手が1分08秒904、7番手の東源夏樹選手が1分09秒056、8番手の松本康平選手が1分09秒092、9番手の堀雅清選手が1分09秒322と続いた。

13時3分、15ラップの決勝レースがスタート。ポールポジションの八代選手がスタートをうまく決めて先頭で1コーナーに入り、それに続く2番手の荒川選手は僅かに外側のラインから八代選手に詰め寄る。ところがタイヤが冷えた状態で突っ込みすぎたためかリアが大きく流れてバランスを崩し、逆にスタートで引き離した会沢選手とイン側の縁石を使って果敢に攻める貴島選手が迫る状況に。2周目以降も1コーナーでは荒川選手がプレッシャーをかけつつ八代選手に並び掛けるところまでいくものの、ここまでの4戦で様々なシチュエーションを経験し、3勝を挙げてきた八代選手は簡単には揺さぶられず、周りの状況を冷静に確認しながら自らのレースを行う。

トップの八代選手から4番手貴島選手までが団子状態で周回を重ねる膠着状態が続く中、一見すると八代選手を追いつつ2番手をキープしているかに見えた荒川選手だが「後半に勝負を仕掛けようと目論んでいましたが、レース序盤から右コーナーで現れていたバイブレーションの症状が徐々にひどくなり、思うように攻め込めなくなっていました」とレース後に言うように、走行ラインを自在に変えて迫る3番手の会沢選手と、その後ろから機会を伺う前年度チャンピオン貴島選手の圧力を大きく感じるようになる。一方でバックストレートから最終コーナーへの伸びのいい八代選手は、混沌とする2番手以下を引き離しにかかっていく。

そんな状況が大きく動いたのが13周目。第2ヘアピンを立ち上がりバックストレートで加速した会沢選手が最終コーナーで荒川選手をパスして2番手に浮上。テールtoノーズの2台は、続く14周目の第2ヘアピン入り口のブレーキングで荒川選手が会沢選手を軽くプッシュする格好となり、アウト側に姿勢を乱した会沢選手と貴島選手を加えた3台がバックストレートでスリーワイドとなり最終コーナーに突入。ここで2番手を奪取した荒川選手だったが、ファイナルラップには一瞬のすきを突こうとする貴島選手の猛攻を受ける。昨シーズンは貴島選手の戦いぶりを眺めていた荒川選手も、今年はランキング2位の意地と他の誰よりも練習を重ねてきたという自負で真っ向勝負を挑み、ラインを交錯させる瞬間もありながら何とか2番手を死守する。

この結果、優勝は八代選手、2位に荒川選手、3位が貴島選手、4位は会沢選手、5位に松本選手、6位に有泉選手、7位に堀選手、8位に山本選手、9位に東源選手となり、八代選手が2019年TTC1400クラス年間チャンピオンを決めた。

レポート レース風景

2番手がバックミラーにはっきり映り込む中、我慢の走りでトップを死守する八代選手。プレッシャーに負けないメンタルの強さがチャンピオン獲得の原動力となった。

レポート レース風景

中盤以降にトップの八代選手と2番手のギャップが若干広がり始めると、荒川選手に対する会沢選手と貴島選手のプッシュが一層激しさを増してくる。若手にとってはベテランのアタックを受け止めるのも試練。

レポート レース風景

序盤で逃げ切れなかった荒川選手を会沢選手が最終コーナーでパス。そのまま第1ヘアピンになだれ込むが、動揺を隠しきれない荒川選手のインを今度は貴島選手がうかがう。

レポート レース風景

第2ヘアピンの進入で軽く接触した荒川選手と会沢選手が姿勢を乱す中、バックストレートで伸びてきた貴島選手が並びかけて最終コーナーにスリーワイドで飛び込んだ14周目。「冷静さを失っていた」と荒川選手は反省していたが、最終戦で最も盛り上がった瞬間だった。

Winner's Interview

ttc1400 表彰台

優勝
八代勝也選手

「これまでの決勝レースでは、先行逃げ切りか後ろから追い上げる展開が多かったので、とても近い位置にいる2番手以下を従えながら走行する序盤は、しんどかったです。マシンはこの一年間しっかり走ってくれましたが、チャンピオンがかかっているというプレッシャーを感じながら我慢を強いられる走りに慣れていない分、間違いなく今シーズン一番の我慢のレースでした。このところ前後バランスで課題を抱えていましたが、前日のスポーツ走行でセッティングに光明が見えたので、予選で再調整した後に納得のバランスになってからは自信を持って走行でき、決勝でもいいイメージのまま後半に向けてタイヤを温存しつつ、自分のペースを守りながらミスを冒さず、相手に対して隙を与えないように心がけました。TTCはドライバー同士の駆け引きが緻密で、観客席で見ていてもエキサイティングなクラスですし、後輩の荒川選手にも、まだまだ負けられないので、これからも魅力を伝えて盛り上げていきたいです」

2位 荒川智弘選手

「本格参戦を始めた昨年の夏から練習量を増やして、また多くの応援もいただき、やって来たことが実を結び始めていると思います。結果的に考えると、決勝では後半より序盤の方がこちらの状態がよかったので、もっと早めに仕掛けるべきだったと思います。八代選手から4台が団子状態となって決め手を欠く中、マシンの状態も自分自身の気持ちにも徐々に焦りが出てきて、会沢選手と貴島選手を巻き込む形で混乱を作る原因となってしまったのは、申し訳なく悔しい気持ちが残りました。ただそうした経験も含めて、レースによってメンタルが強くなったのは、とても大きな収穫ですし、先輩でありライバルでもある八代選手の存在が速くなりたいというモチベーションにつながっていたことは間違いありません。また勝負の権利がある状態で最終戦に挑めたのも重要で、どのレース、どのクラスにおいても最終戦の重みは特別なものであるということは、筑波サーキットのオフィシャルを勤める上でも貴重な経験となりました」

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