Race Report
Circuit Trial Rd.5
2022 JAF筑波サーキットトライアル選手権シリーズ第5戦
CT4クラスはスイフトの名手・梅野がレコード更新&王座奪取!
CT6クラスでは安本をレコード樹立するも吉崎には届かず2位に…
前戦とは打って変わって晴れ渡った筑波の空。東には紫峰筑波山の稜線がくっきりと見える。14時10分にA組からスタートする2022JAF筑波サーキットトライアル最終戦。正午を過ぎる頃になると、パドックに全車が並び、いつも通りの和やかな雰囲気に落ち着く一方、最終戦だからこその張り詰めた空気が混然一体となり独特な空気感を作り上げられた。最終戦ということもあり、エントリー台数は多くなかったものの、ここまでシリーズを戦い抜いてきた強者たちが顔を並べ、混戦必至の予感だ。
定刻通り、14時10分からのスタートに向け、10分前になるとCT1~CT4クラスのエントラントはコントロールタワー前に移動を開始する。走行前に「クリアラップを上手くとれるかがこの大会のポイントです」と語っていた絶対王者澁澤栄一選手。その言葉通り、先頭でコースインした馬場元選手を交わし、ヘッドライトを点灯!早々にアタックラップへと突入していく。澁澤選手は計測2周目にいきなりひとり1秒台に飛び込む驚異的なラップタイムを記録。しかし、ここで澁澤選手のインプレッサに異音が発生してしまう。ミッションからの異音にいち早く気が付いた澁澤選手は早々にピットへマシンを戻すことに。すると裏ストレートでミッションからの異音がガラガラという大きなものに…。これでアタック終了を余儀なくされた澁澤選手は他のエントラントの結果待ちとなる。そして約1時間後に開催された勝負の2本目。気温も下がり絶好のタイムトライアル日和だ。そんな中、計測5周目で2秒台に飛び込んできたのは高岩良行選手だった。条件の良くなった2本目。マシントラブルで走ることができない澁澤選手を追い詰める。3番手につけた佐藤周平選手も計測3周目で3秒193をマークし澁澤選手を追いかけるが、後半になっても各車タイムが伸びてこない。CT1クラスは澁澤選手が1本目のタイムで逃げ切り見事満点優勝を成し遂げた。
一方チャンピオン争いのかかったCT4クラスではタイトル争いで後塵を浴びせられている松橋豊悦選手が3周目に5秒台をマーク。2番手にシリーズリーダーの梅野健太選手がつける展開だ。さらに4周目に松橋選手が自己ベストを更新し、5秒381をマークするも、次の5周目に梅野選手がコースレコードとなる4秒460を記録する。後半になりタイヤの内圧があがると、各車タイムメイクに苦しんだ様子。1本目は梅野選手、松橋選手、田中洋一選手の順で第1ヒートを終了した。続く第2ヒート。条件は1本目よりも確実に良くなっている。さらなるコースレコード更新に期待がかかるが、4秒台を記録する選手は梅野選手ただひとり。1本目のコースレコードには届かなかったものの、梅野選手が第1ヒート、第2ヒートともにトップタイムを記録して逃げ切り優勝。シリーズタイトルも手にした。
そして、コンパクトカーや軽自動車が乱立するB組の走行が開始される。まず注目は後半戦めきめき調子を上げてきているきいろスイフトの大輪清選手。この日も大輪選手はきれた走り!一方、調子を落としているK11マーチの柴田尚選手。そこに、前戦優勝の西村一男選手が絡む展開だ。9秒台を早々にマークしたのはランキング2位の大輪選手。そしてもう一人の日産ノートユーザー太田高之選手がこの日2人目の9秒台へとジャンプアップしてくる。ランキング首位を走る柴田選手は10秒台に留まる苦戦の状態で第2ヒートへと折り返す。続く第2ヒートでは西村選手が3周目に9秒台に飛び込みクラス2位へ!すると4周目に大輪選手が自身の1本目のタイムを更新し後続を突き放す。柴田選手も最終ラップになんとか9秒台をマークするが4番手は変わらず。これで大輪選手の今シーズン初優勝が確定する。しかし、シーズン序盤にしっかりとポイントを加算した柴田選手がシリーズタイトルはがっちりキープ!2022年王者の栄冠は柴田選手に輝くこととなった。 CT6クラスは吉崎久善選手のカプチーノと安本悠人選手のロードスターという異色のオープンカーマッチアップ。ここまでリードしてきた吉崎選手が先手を取って、第1ヒート4周目のアタックでコースレコードを更新!するとすかさず7周目に安本選手がそのレコードを塗り替える9秒188で逆転に成功する。加熱する第2ヒートも2人の走りに注目が集まるも、コース上のデブリに足を引っ張られたのか両者ともタイムダウン。優勝は安本選手が飾るも年間シリーズチャンピオンは吉崎選手のものとなった。
そして、CT7クラスはSIRIUSロードスターの日向孝之選手とネッツ千葉GRシュポルトヤリスの熊本壮一郎選手の争い。1本目は3周目に熊本選手がターゲットタイムとなる11秒019をマークすると、日向選手もそれに呼応するように徐々にペースアップ。両者ともに11秒台の安定したラップを立て続けにマークするも決め手にかける状況が続く。しかし、10周目に日向選手が10秒台に突入!これで1本目を日向選手が制した。続く2本目、プレッシャーからか熊本選手は1本目のベストタイムを更新できず。一方で日向選手は渾身の10秒194をマーク!コースレコードを更新しての第5戦優勝とともにシリーズタイトルも手中に収めた。
これにより2022年の筑波サーキットトライアルシリーズも無事に閉幕。アットホームな雰囲気とピーンっと張り詰めた勝負の世界が同居する非日常空間へ。2023年も走らずにはいられない!!
2022シーズンチャンピオン
澁澤栄一さん
ゼロマックスGDAインプレッサ
1本目2周連続でアタックしたら裏ストレートで異音がして、バラバラって音がしちゃいましたね。まぁ、スペアミッションもあるんで直せるんで大丈夫です。今年もコロナの影響がまだあって難しいシーズンがしばらく続いている感じですよね。自分的にも噛み合ってないところが散見したんですが、それでもクラッシュもなかったし良いシーズンだったと思います。同じクラスの皆さんにも負けずに済みましたし、森田さんにも最終戦まで負けないで良かったと思います。来年はGVBのインプレッサで参戦したいと思っています。5名乗車にして、皆さんとまた楽しく走れればと思っています
森田正穂さん
N-One☆ましゅ~RX-7
最終戦、澁澤選手に1000分差で負けてしまったのが悔やまれますが、無事チャンピオンを獲れたのは良かったですね。CT2クラスもポルシェの参戦などもあり、タイム差が縮まってきているので気が抜けない大会が続いて非常に楽しめました。SUGOや富士でもポルシェの速さは知っているので、今年は人気のBSタイヤを新調しました(笑)やっぱりオーバーオールを狙いたいので絶対王者の澁澤さんにしっかり挑みたいですね。来年、クラスが細分化されるなら、またロータスを持ってきたいと思います
梅野健太さん
スイフトスポーツ R/T
去年はシリーズが成立しなかった大会もあって、非常に厳しい条件でしたが、周りのスイフト仲間も手伝ってくれてシリーズも成立して良かったです。シーズン中も接戦なときもあって大会ひとつずつも楽しめましたね。今年は特にマシンのアップデートもせず、タイヤも1セットで遊べるのも良いですね。元々、軽いクルマなので、リアタイヤなんか去年から使っているんですよ。お財布にも優しいので、ぜひ皆さんも参加してください。
柴田 尚さん
ロイヤル アクレ アヤサマ―チ
最終戦は1周でも走ればチャンピオンが決まるという点では気楽でしたが、皆さんがタイムを出している中で、自分だけタイムが出せなかったことが悔やまれますね。力のないK11マーチでいかにタイムを残せるか考えて自分だけのラインを探しています。今年は開幕3連勝を飾れたことがチャンピオン獲得に大きなポイントとなりました。もうK11マーチも誰もいないんで、来年もコイツで頑張ります
吉崎久善さん
DXLカプチーノ三号機
おつかれさまでした。今年は成立するかしないかドキドキしながらのシリーズだったので無事に終われて良かったです。もう少し寒い時期になってくれるとターボが元気になってくれるので絶好調なんですが(笑)サーキットトライアル初年度から参戦していますが、当初5年連続シリーズチャンピオンを獲得してたんですが、いまの体制になってから久しぶりのチャンピオンで嬉しいですね。来年もカプチーノで頑張ります!これが壊れてもスペアも1台あるので、カプチーノひと筋にこだわります