Race Report
Circuit Trial Rd.4
2024 JAF筑波サーキットトライアル選手権シリーズ第4戦
夏を制する者が筑波を制す!! CT1溝口選手とCT4宮崎選手が4連勝で早くもシリーズチャンピオンを確定させる!!
異常気象が当たり前になっている昨今。それでも夏の筑波は暑い!この日の最高気温はなんと38.2℃!路面温度は正午に59.0℃をマークするという、タイムアタックには劣悪なコンディションだ。しかし、それでも全ての車両はイコールコンディションで争われる。ターボ車にとっては過給圧をかけても吸い込む酸素の量は少なくなり、タイムが上がる柔らかいコンパウンドのタイヤを選択する者にとってはシビアなタイヤマネージメントが必要になる。それでも削りたいコンマ1秒を、どのタイミングでアタックするのかが勝負の分かれ目。特に1周が2,045mと短い筑波サーキットでは25台がコースインすれば1台ずつの間隔は100mに満たないことになる。ここで重視されるのはエントラント同士の信頼感から生まれるマナーと譲り合いの精神。互いに120%のアタックができるよう、タイミングをずらしながら戦うのが筑波の流儀だ!
さて、そんな2024JAF筑波サーキットトライアル第4戦。2ヒート制で争われるが、路面温度の低い1本目勝負になると誰もが予想。そのため、第1ヒートはコースが混み合うと考えられる。今大会、第1ヒートのコースインの順番は受付順となっている。まずは、最初にコースインするドライバーが圧倒的に有利だ。CT1クラスで最初にアタックを仕掛けたのはゼッケン3の佐藤周平選手。インラップ後すぐの2周目にアタックを仕掛け3秒台後半をマークする。しかし、6周目にアタックをしかけた優勝候補のふたり35GT-R溝口敦子選手とGDAインプレッサ澁澤栄一選手がトップタイム争いを繰り広げた。クリアラップをしっかりと見極めたふたりはここぞとばかりにアクセルを踏み抜くが高い気温が行く手を阻む。最終コーナーを鬼のようなコーナリングスピードで駆け抜ける澁澤選手だったが、審査委員会に走路外走行と判断されてしまい当該周のラップタイムを削除されてしまう。その結果、澁澤選手は2秒台の記録。一方、しっかりとマシンを止め、きちんと頭を出口に向けて加速する丁寧な走りの溝口選手は1秒台をマークする。第2ヒートに入ると、事前の予想通りほとんどの選手がタイムダウンを余儀なくされてしまう。この結果、CT1クラスを制したのは溝口選手。これで4連勝となった溝口選手は今シーズンのチャンピオンを確定!「1本目の方が気温も低かったので、ちゃんとタイムを出しにいくつもりで、きちんとタイムを残せたのが良かったと思います。2本目も気温なりにはタイムは出せたと思いますが、あれが限界ですね。前日に20台くらい入る走行を体験してクリアの作り方にこだわれたのが良かったです」と走行後に溝口選手はコメント。来年もJAFカップを目指し参戦予定だ。
一方、混走となったCT2クラスは前戦からポルシェ714ケイマンに乗り換えた森田正穂選手と同じくポルシェ714ケイマンを操る松代耕二選手の一騎打ち。同日開催のマツダファン・エンデュランスにも参戦する森田選手がまずは先行。2周目に1秒台を記録する。松代選手も終盤となる8周目にアタックを仕掛け2秒をマークするが森田選手には届かない。その影でマシンのクーリングを行いながらさらなる好機を探る森田選手。上位のAWD勢がコースから出ていく最後のラップにアタックへ入り、見事1秒台を記録トップで折り返すことに成功する。第2ヒートで松代選手は僅かにベストラップを更新するも、森田選手の1秒台には届かない。この結果、第1ヒートの結果で森田選手が優勝を手にし、年間ランキングも松代選手と並ぶこととなった。そんな森田選手は「1本目の方がちゃんと走れましたね。まだ乗り慣れていない感じです。前回の筑波から今回まで乗ってないので特にそう感じます。車両の重さがネックなのと足が純正のままなので動きが大きく、発生したヨーをどうタイミングをとるかに悩んでますね」とコメント。まだまだ、目指すものは先にありそうだ。
また、CT4クラスもGR86をドライブする宮崎邦紘選手が4連勝としシリーズチャンピオンを確定している。
そして、混戦のB組はCT5クラスのチャンピオン争いが激化!開幕戦を制した石井均選手と第2戦・第3戦を連勝している鯉渕慶比古選手の争いだ。ここで鯉渕選手が優勝するとチャンピオンが確定。しかし、石井選手は第2戦・第3戦を2位で凌いでおり、優勝すれば最終戦での決着となる。2ラップ目に石井選手が早々に8秒台をマークしトップに躍り出ると、鯉渕選手も8秒台でこれに続く。しかし、4周目に鯉渕選手がアタックを行い7秒台にタイムを縮めると、石井選手も食い下がるが8秒台から抜け出せない。第1ヒートはこのまま終了し鯉渕選手トップで折り返す。しかし、2本目は路面温度が異常に上がったタイミングでのアタック…。多くのエントラントがA組同様軒並みタイムダウンとなってしまう。この結果、鯉渕選手が今季3勝目を手にし、シリーズチャンピオンを確定させた。そんな鯉渕選手は「2本目の方が再現性のあるドライビングができたんですがタイムはでませんでした。第1ヒートのアタックラップは1ヘア先でちょっと詰まっちゃったんですが、それでもアクセルを踏んでいけたのが良かったですね」と走行後に感想を教えてくれた。一方、敗れた石井選手は「この気温だとこれくらいが限界ですね。人もクルマもタイヤも71RSなのでこれが限界ですね。相手が速すぎました…」と悔しさをにじませた。
また、CT6クラスも堀知海選手が3連勝を飾りチャンピオンを確定!同様にCT7クラスもT.Sakamoto選手が今季3勝目を飾り、最終戦を前にシリーズチャンピオンを確定させた。
コース2000の攻略法やマシンセットアップ!
その方法をJAF筑波サーキットトライアル選手権の猛者に教えてもらおう!!

K10マーチから乗り継ぐマーチマイスター
CT7 柴田尚 選手
筑波サーキットトライアル選手権の中でも異彩を放つマーチ職人! 自分の好きなマシンにこだわり、自分の技量とセットアップ技術で1台でも多くの格上と言われるマシンのタイムを抜き去る筑波マイスターに聞く!!
K13は正直、上が回らないのでサーキットは遅いんですが、ノーマルのマーチでどこまでやれるかを楽しんでいます。いまはサスペンションとLSDを交換したくらいでノーマルです。皆さんパワーを求めてしまいますが、やっぱりマーチの魅力はコーナリングにあります。
アフターパーツでいろいろなものが出ている中で、付けたがる人も多いですが筑波サーキットで練習することが重要ですね。セットアップも前後バランスはフラットにしています。
やっぱりマーチの走りを極めるということでドライバーにお金をかけるのが1番です。特に筑波のインフィールドはマーチの楽しさを引き出すのにピッタリ‼1コーナーを抜けてから第2ヘアピンまで‼ 僕も月2回は筑波サーキットに走りにきますし、練習にお金をかけるのが1番です。ちなみにECUを交換しても筑波サーキットならタイムで変わるのは1秒もありません。