Race Report
Circuit Trial Rd.5
2024 JAF筑波サーキットトライアル選手権シリーズ第5戦
熱いバトルを制したCT2森田選手が3連覇!
CT1王者溝口選手が王者の貫禄でシリーズフィニッシュ!
10月の秋晴れの下、いよいよ2024シリーズを締めくくるJAF筑波サーキットトライアル選手権の最終戦を迎えた。7月に行われた4戦目でCT2とCT3クラス以外がシリーズチャンピオンを確定。何とCT2クラスでは4戦目終了時点で互いにポルシェ714ケイマンを駆る森田正穂選手と松代耕二選手が70ポイントタイ、同率1位で並んでいる。今回の最終戦を制した方が王者となる一騎打ちの熱い構図だ。
Aクラスの第1ヒートはCT2の森田選手がファーストラップで1分2秒083、続くセカンドラップで1秒668と早くも1秒台に入れる。一方、松代選手は3ラップ目で1秒796をマークして森田選手の背中を捉える。森田選手は7周目に1秒075と第1ヒート全体のトップタイムをマーク。前半の軍配は森田選手に上がった。「1周目のダンロップコーナー終わりで他の車に引っかかってしまったのをきっかけにタイムが伸び悩んでしまいました。台数が多かったり、避けるタイミングが難しかったです」と松代選手が第1ヒートを振り返った。 CT1では澁澤栄一選手が1秒156をマークして首位を記録。年間王者の溝口敦子選手は1秒837と1秒台後半で辛くも2位に付けた。
第2ヒートでは前半2位だったCT1の溝口選手がファーストアタックでタイムを更新して1分1秒279を早々にマーク。後ろには澁澤選手が1秒460で続く。しかしCT2の佐藤雅士選手が2ヘアコーナーで曲がりきれずにグラベルにコースアウトしてしまう。赤旗が上がり、競技は一時中断となった。車体が回収されるとレースは再開。各車が気合を入れ直す中、6ラップ目の溝口選手がこの日CT1クラスのトップタイムとなる1秒084を記録し、堂々の勝利を収めた。「第4戦で年間1位が確定していたので無理することはなかったんですけど…。1本目でライバルに負けてスイッチが入ってしまいました。今日は最終コーナーで弱めのブレーキを残しながら車の向きを変えるガマンの走りで立ち上がりが綺麗にできましたね」と溝口選手は自身の走りを振り返った。
注目のCT2クラスは最初にリードしたのは前半2位の松代選手だった。1秒599と自身の前半タイムも上回る記録をマークして牽制する。互いに数周走るとピットインし、両者とも後半に差し掛かる経過10分頃に復帰。仕切り直しの場面でタイムを伸ばしたのは森田選手だった。まず1秒594と松代選手とほぼ同じタイムをマーク。さらに波を掴んだかのように0秒957と、この日唯一の0秒台に入れてくる。結果的にこのタイムが勝利の鍵となり、この日のトップ、さらに2年連続で年間王者の冠が森田選手のもとに渡った。
CT3は秋本拓自選手が優勝し、年間1位の座も確定。CT4は年間王者の宮崎邦紘選手が不在。年間2位の松橋豊悦選手が今年初の1位を飾った。
Bクラスでは第1ヒート開始直後、1周目でCT5クラスの福島達也選手がコースアウトし、最終コーナーのグラベルに埋まってしまうハプニングが発生。全車がピットに戻り、オフィシャルから残り10分での計測するアナウンスが会場に流れた。無事にマシン回収後、再スタート。
CT5クラスで最初に頭角を見せたのは初参加の山田修宇選手だった。山田選手が9秒238をマークすると、石井均選手が9秒650、鯉渕慶比古選手が9秒692と新人選手が年間2位、年間1位を引っ張る形で序盤が展開する。しかし着々とアタックを続ける鯉渕選手が5ラップ目に8秒253をマークしてトップに立つ。2位を争う石井選手と山田選手だが、石井選手が8秒714、山田選手が8秒786でフィニッシュし、僅差で石井選手が2位の座についた。タイムを守り切った鯉渕選手が1位で前半が終了する。「アンダーが強かったのか、コーナリングでフロントの踏ん張りが弱かった気がしますね。後半の第2ヒートでは内圧を調整して臨みたいです」と第1ヒート後の鯉渕選手が振り返る。
CT6クラスの堀知海選手は最初のアタックで7秒354をマークし、いきなりコースレコードを決めて観衆を沸かせる。その後何度かアタックを続けるも更新には至らず、最初の記録がトップタイムとなってフィニッシュ。B組全体のトップタイムとなる結果になった。
第2ヒートでは鯉渕選手が2ラップ目に7秒965の好タイムを切り、前半のタイムを早速更新する。第1ヒートで2位だった石井選手はクリアのタイミングを掴めないのか4位にダウン。山田選手、そして4位だった柴田尚選手が1ランクずつ順位を上げる。残り時間半分となった経過10分で、意地を見せた石井選手が8秒798をマークして3位にランクアップ。優勝は鯉渕選手、前半のタイムが採用された石井選手が2位、初参加の山田選手が3位となった。
CT6では堀選手が7秒764でクラストップに立ち、Bクラス全体のトップタイムをマーク。第1ヒートのタイム更新には至らないが、しっかり存在感を見せつける。結果としては2位から1.5秒以上の差を付けて、王者らしいシーズンのフィニッシュを迎えた。
「2ヒート目の方がクリアを取る際の状況は良かったんですけど、路面の状況が良くなかったり、タイヤも1ヒート目で使ってしまっていたので1ヒート目の方が良い結果になりました」
CT7は第1ヒートT.Sakamoto選手が10秒943で1位のフィニッシュ。第2ヒートは1ヒート同様に1位をキープするも、タイムは更新ならず。これで今年4勝目を果たし、圧勝の結果を飾った。CT8は今年3戦目の遠藤幸和選手が参加するも1台エントリーのため、残念ながら競技不成立。そして、以上をもって2024シリーズは終了。クラス王者の約半分が今年初エントリーの顔ぶれとなった2024年。来年も新たな風が吹くのか、乞うご期待!
2024シーズンチャンピオン
溝口敦子 選手
ママのおでかけGT-R
女性初のチャンピオンになれて感無量ですし、全力を出し切れたと思います。排気量無制限のクラスで女性がまだ誰も優勝していないと思ったから、女性で最初に優勝しようと今回急いで出場しました。これから私に続く女性ドライバーは2番目ですからね。本当に嬉しいです。サーキットトライアルは初挑戦でしたが、私なりのコースマネジメントを5戦に渡って学べたのが大きな収穫でした。筑波はテクニカルなコースですし、筑波なりの細かいテクニックを少しずつ習得できて面白かったですね
森田正穂 選手
寝不足☆ましゅ~GT4
偶然にも去年と同じ2勝2敗からの無事に優勝できて良かったです。今年は何より車が間に合って良かったですね。慣れない車でしたが毎回ハラハラしながら乗るのはやめようと思います(笑)クリア取りの位置は大事だと思います。先頭ですと一番後ろの車に追い付いてしまうので、先頭よりは真ん中の少し前の位置辺りがアタックしやすいですね。来年も引き続き参加しようと思っています。
秋本拓自 選手
ガレージ4413☆72☆Z33
自分がコロナに罹ってしまい競技として不成立になった時もありましたが、年間を通してCT3クラスを何とか成立できたので一安心です。ただマシンも走りも昨年と変えていませんが。加齢のせいなのか少しずつアベレージが落ち出しています。もしかすると自分自身のコンディションが上手く行っていないかもしれません。来年はアベレージアップも意識しながら走りたいと思います。
宮崎邦紘 選手
Tiレーシングお上品GR86
1番コンディションの良かった開幕戦で3秒台を出せ、2位に2秒以上の差をつけて優勝できたのは嬉しかったです。ただ、自己ベストは2秒台だったので、それが出せなかったのが心残りです。参戦1年目からチャンピオンを獲れたのも良かったです。富士チャンピオンレースの86BRZレースでもチャンピオンを獲れ、来年はJAFカップにも参戦したいと思っていますが、GR86での活動は休んでロードスターレースへの参戦も検討中です。
鯉渕慶比古 選手
TECmscテンロクシビック
今年から初めてJAFのサーキットトライアルに出させてもらいましたが、皆さん良い人ばかりで楽しく参加できました。1年走ってみて、改めて筑波は奥が深いサーキットだと改めて感じましたね。タイムこそ出せませんでしたが、技術の引き出しは増やせました。どのタイミングでクリアラップを取るかが大切だと思っていて、タイヤやブレーキの良い時を逃さないようにするのが難しいし、楽しい部分ですね。
堀 知海 選手
OKAYUロードスターND
今年サーキットトライアルに初参加でした。最初は走行会の延長のような気持ちで参加していましたが、毎回参加者の方のレベルが上がってきたり、自分もできる事が増えてきてずっと楽しい1年でした。初戦の自分と比べて、最終戦は上手くなっていると自分でも感じられたのも嬉しいです。1年を通して事前準備や当日の整え方、競技後の反省など一連の流れが自分の中でルーティン化できて、競技に対するメンタル面も強くなったと感じます。