Race Report
Super FJ Rd.2
2022 JAF筑波/富士スーパーFJ選手権シリーズ第2戦
ZAP SPEED RACING vs ファーストガレージ!熾烈なチーム間バトルはZAPに軍配!!
「Super FJから頂点へ」…。フォーミュラレースの登竜門Super FJシリーズ。ここ筑波サーキットで開催される筑波シリーズも15年目のシーズンを迎える。FJ1600に代わる新シリーズとしてはじまった本シリーズ。120馬力を発生するホンダ製LA15Aエンジンと戸田レーシングのHパターンドグミッションを、ウエストレーシングカーズ、東京R&D、自動車工房MYSTという3つのコンストラクターの車体に搭載する。昨年までは横浜ゴムワンメイクだったが、2022年からはダンロップタイヤワンメイクに変更。これにともない、いままでストックされていたセットアップデータはリセットされ、各車横並びで新しいセットアップを模索している。全体的なグリップは格段に向上したが、レースでのタイヤマネージメントを必要とされるダンロップタイヤでさらにシリーズの行方は混沌としそうだ。
そんな本シーズンの開幕戦から早1カ月。GW真っ只中の5月5日(木曜)B-Sports主催の筑波サーキット・カーフェスティバル(通称:筑フェス)に併催される形でJAF筑波/富士Super FJ選手権第2戦が開催された。
当日は雨が心配されたが、風は強いものの朝から太陽に恵まれた快晴。政府からの行動規制のない久しぶりのGWで、観客も多くにぎわったサーキット。気温もぐんぐん上がり、予選が開始される8:50時点での気温は21.7℃、路面温度も30℃を超えた。ただ、コースにはところどころにウォーターパッチが残り不安定な状況。特にアスファルトは乾いていても、縁石付近には見えない水たまりが存在し、タイムアタックに入るドライバーたちを困らせた。そんな中、最初にターゲットタイムをマークしたのはファーストガレージ所属の岩本瞬が開幕戦のポールポジションタイムをコンマ2秒上回る58.505を叩き出す。最終コーナーの進入速度に悩んでしまうもここまでのトップタイム。しかし、予選終了直前にチームメイトの安田航選手がこれをコンマ3上回りトップタイムを塗り替える。「予選は全部出し切れたと思います。前回ZAPが速かったので一矢報いたいと思って、しっかり準備してここにきました」というコメント通りの渾身の走り。だが、このタイムを最終ラップで更新したのが、現在上り調子のZAP田上蒼竜選手だった。「ホッとしました。SUGOももてぎも出て、誰よりも走っているのでポール獲らないとダメですよね。2ヘアがいままでも1番いい感じで走れているんですが、前半セクションの合わせこみが課題だったかもしれません。ブレーキングからの流れをつめて決勝も逃げ切りたいと思います」と予選を振り返る。
強めの風も手伝って、路面は完全なドライに回復した決勝。気温も季節外れの夏日を記録し、路面温度は48℃まで上昇。タイヤの熱ダレを心配する選手が多くいる中、決勝に向けてスタート進行がはじまる。家族ぐるみで参戦する田上選手。レーシングギアを装着した状態で浴びる太陽は体力を奪ってしまうが、家族が日傘を差して日陰を作るサポートしている。その他の選手にも多くのサポーターが付きスタート前のコース上はにぎわいを見せた。決勝は定刻通り12:05にスタート。レッドシグナルからブラックアウト。全車一斉にアクセルを開けて、1コーナーへとなだれこむ。まずホールショットを決めたのはポールポジションスタートの田上選手。ここで最高のスタートを切ったのは3番手ポジションの白崎稜選手。2番手安田選手を交わして2番手で1コーナーに飛び込んだ。逆にスタートを失敗してしまったのはそんな安田選手だった。4番手の稲葉摩人選手、5番手の岩本選手にもオーバーテイクを許してしまい5番手まで順位を落としてしまう。1周目を田上選手、白崎選手、稲葉選手のZAP勢が独占して進むレース展開。このトップグループを追うのは、岩本選手と安田選手というファーストガレージの2台。だが、この日の主役は田上選手。オープニングラップ以降、徐々に2番手の白崎選手を引き離しにかかる。「ストレートが2倍くらい長ければワンチャンあったかもしれませんが、きょうの走りでは全く付け入る隙がありませんでした」と2番手の白崎選手が語るほど、田上選手は完璧な走り。「ずーっといままで勝ててなくて、途中邪念がはいっていろいろ考えちゃいました。前回もそうなんですが、グリッドの位置が凄く重要なので、きょうは予選から良かったのが勝因ですね。家族と応援してくれる方々に感謝しています」とレースを振り返る。レースは7周目に安田選手が僚友岩本選手を交わし4番手にポジションをアップすると、岩本選手はタイヤのグリップダウンが激しく最終ラップの第2ヘアピンで武者利仁選手にオーバーテイクを許してしまう。「自分の不甲斐なさが出てしまったレースですね。冷えてるとき、タレてきたときのタイヤの使い方が全然できていなかったですね…」と振り返る岩本選手。 今大会もZAPが表彰台を独占する結果になったJAF筑波Super FJ選手権。このまま「STOP THE ZAP」が今後のキーワードとなりそうだ。その先陣を切るのはファーストガレージか、はたまたゼンカイ走りが持ち味の武者選手か?この後の戦いにも注目したい。
Winners Interview

優勝
田上蒼竜選手
「前回参加したSUGO選手権で岡本大地選手が最初の数周で勝負を決めていたので、それを見習ってフォーメーションラップからしっかり気合を入れていきました。本当にずーっと勝てなかったんでホッとしています。ここまで応援してくれた家族、チームの関係者、応援してくれた方々に感謝しています。回り込むようなコーナーでちょこちょこと小さな水があったので、毎周きちんと同じように走ればもっと後続を引き離せたと思うので、次は『走りも完璧でした!』と言えるような走りで連勝を目指して頑張りたいと思います」
2位
白崎稜選手
「スタートは良かったんですが1位の田上選手もスタートが良くって追いつけませんでした。全体的なスピードでもきょうは負けていました。今回はブレーキコントロールがいまいちでした。中盤から後半にかけてタイヤを何度かロックさせてしまい、タイヤがだんだん緩くなっていくに従ってコントロールが難しくなっていく感じでした。後ろの稲葉選手もスピードがある選手なので、注視しながらレースをしていました。ここまで3位、2位ときているので、次はなんとしても1位をとりたいですね」