Race Report
Super FJ Rd.1
2022 JAF筑波/富士スーパーFJ選手権シリーズ第1戦
昨年、衝撃的なデビューウィンを遂げたニューカマー稲葉摩人選手が初戦を制す!!
今年も筑波サーキットに春の訪れを告げるのはこのレースだ。フォーミュラカーレースの登竜門として全国各地のサーキットで地方選手権が開催されているスーパーFJ選手権。FJ1600規則の下設計されたコクピットにはレース専用のHパターンドグミッションとホンダ製L15A型エンジンを搭載する。スピードレンジこそ高くはないが、前後にウィングも装着されフォーミュラカーならではのダウンフォースを習得するには十分な設計だ。2022年はコントロールタイヤが横浜ゴムからダンロップへと変更になり、いままで築き上げてきたデータがリセットされる。これにより、ベテラン組がもっているマージンは限りなく少なくなっている。そこにチャレンジするのは毎年のようにこの登竜門に挑むルーキー勢。今年も数多くの新人がこの門をくぐる決意をし、ここ開幕の地筑波サーキットへとやってきた。そんな開幕戦は予選から荒れた展開となった。
前日からの降雨により、路面にはまだところどころウェットパッチが残る難しい状況。TCC1400が走行したとは言え、まだまだ路面はできあがっていない状況だ。事実、第1ヘアピンではスピンする車両が続出。そんな予選はラスト1周にドラマがまっていた。まず、最初にトップタイムを更新したのは地元牛久市出身のドライバーZAPの田上蒼竜選手。さらに0.01秒上を行ったのが同じくZAPの白崎稜選手。そして、とどめの一撃と言わんばかりに同じくZAPで、昨年の最終戦で衝撃のデビューウィンを飾った稲葉摩人選手が0.04秒差でポールポジションを獲得。上位トップ3をZAP勢が独占すると思われたところに割って入ったのがスーパーウィンズの岩本瞬選手だった。岩本選手は稲葉選手に遅れること0.03秒差の58.732でセカンドグリッドへ。白熱の予選5位の安田航選手までがコンマ1秒差の中にひしめく大混戦となった。
「ちょっと路面コンディションが落ち着かない中で、最後にタイムを出すしかないと最初から分かっていたのでタイヤを温めるだけ温めて最後の1周にかけました。ヘアピンのグリップがとても低く、ブレーキバランスを合わせてきれなかったところもありましたが高速コーナーの安定感がったと思います。特に最終コーナーでアドバンテージを築けたのかと…。手ごわい相手が並んでいるので、スタートは失敗せずに着実にマシンを進めて逃げ切りたいですね」と稲葉選手。そんな稲葉選手を追いかける形となった開幕戦。セカンドポジションに付けた岩本選手はレース初体験の32歳。遅れてきたルーキーにも期待がかかる。
定刻通りの11時35分に18周の決勝が幕を開けた。イン側スタートのポールポジションの稲葉選手。一瞬タイヤが滑るもスルスルっとマシンを前々へと進めホールショットを決める。逆に経験値不足を露呈してしまったのは2番手の岩本選手。蹴りだしで若干遅れるも一瞬稲葉選手に並びかけるが、アウトにはらんだところを3番手の白崎選手にインを刺されてしまう。序盤ジャンプアップを見せたのは4番手スタートの田上選手。2周目に3番手にドロップダウンしてきた岩本選手を1コーナーで仕留めると、抜きどころを第1コーナーに決めて2番手白崎選手をロックオン。5周目のバックストレートでシフトミスを犯してしまった白崎選手の隙を見逃さなかった田上選手。最終コーナーで並びかけ、見事に1コーナーで仕留めて見せる。しかし、トップを快走する稲葉選手は逃げ切るには十分のマージンを構築。当初描いていた通りの逃げ切っての筑波初優勝を飾った。4位には予選2番手からスタートを切った岩本選手。5番手には昨シーズンランキング2位の安田選手、6位には山下友基選手が入賞を果たした。また、マスタークラスはベテラン秋山健也選手がトップチェッカー。今シーズンも好調をうかがわせた。
Winners Interview

優勝
稲葉摩人選手
「一瞬スタートで回転数を合わせきれずにストール気味になってしまいましたが、無事にスタートが切れて、そのあとはデータ取りも含めて良いレースができました。トップ3台はコンマ1秒以内で上下していた感じで、『ちぎる』ところまではいけませんでしたね。レース前から僕らチームメイト3台でのトップ争いになることは予想していたので、クリーンなレースを心掛けていました。今シーズンは早々に連勝して、チャンピオンを確定していろんなサーキットに行ければいいですね。まだまだ予断は許せませんが、ステップアップするためにもがんばります」
2位
田上蒼竜選手
「2周目の1コーナーで岩本選手を抜いて、チームメイトの白崎選手がバックストレートでシフトミスしたタイミングでスリップに入って2位になることができました。そこから稲葉選手を追いかけようとしたんですが、同じペースで詰め寄ることができませんでした。タイヤがダンロップになって、グリップ性能はとても向上したのでブレーキングポイントも変わってきてしまって合わせこむのが大変でしたね。あと、ライフが短いのでマネージメントも難しいと思っています。次戦もしっかり準備をしてがんばりたいと思います」