Race Report
TTC Rd.1
2022 筑波ツーリングカーシリーズ第1戦
予選からベテランらしい一枚上手のレース展開で開幕勝利をもぎ取ったのは荒川智弘選手!!
筑波サーキットの名物レースともなっているTTC1400。排気量1400㏄以下のN1車両で争われるこのクラス。実質EP82型スターレットのワンメイク状態となっている。4度の戴冠を果たしている田中千夏選手は開幕戦を欠場。今シーズンの参戦予定はたっていないとの噂も聞かれる。また、常連組だった選手の欠場も相次ぎTTC1400クラスのエントリーは残念ながら3台のみとなってしまう。しかし、この3台はこのオフシーズン筑波サーキットを走りこんできた3台。筑波サーキットを愛するがあまり、サーキットのある下妻市に移住してしまった男・荒川智弘選手を筆頭に、同じガレージビクトリー所属のふたりの若手がこのクラスを盛り上げる。
この冬、荒川選手が数年かかってやっとたどり着いた7秒台にわずか2年というスパンでタイムアップを果たした丸山翔矢選手と添田蓮太郎選手。同じくガレージビクトリー出身の現役S耐ドライバー蘇武喜和選手のアドバイスを受けてみるみる成長を遂げている。そんな3台で争われる予選。開幕戦からニュータイヤ投入で気を吐く荒川選手に対し、丸山・添田両選手はユーズドタイヤを選択した。まだ、未明まで降り続いた雨の影響からウェットパッチの残る難しい路面コンディションの中で予選はスタート。徐々にペースをメイクしていくふたりの若手とは対照的に、何度も第1ヘアピンでブレーキをロックさせながら飛び込んでくる荒川選手。コースクリアを確保しやすい状況を活かして、路面とタイヤの限界を探る作業に余念がない。最初の5分間に設けられたTTC優先の走行時間は各車タイヤの温めにのみ使う作戦。荒川選手は一度ピットインするとタイヤの空気圧を調整して再度コースへ。最後5分を切ったあたりからタイム更新合戦がはじまる。口火を切ったのはゼッケン24の添田選手。いきなり9秒台までタイムを上げるとトップタイムを更新。しかし、荒川選手も黙ってみてはいなかった。生後5か月の息子が応援に駆け付ける中、渾身のタイムアタック。見事添田選手をコンマ3秒上回る1分9秒176でポールポジションを獲得した。
「思ったよりもウェットパッチが酷くて、そこに合わせるのが大変でした。路面コンディションが悪いときでもきちんと合わせ込めるようになりたいですね。8秒5まではいけたと思いますね」と荒川選手。一方、予選2番手の添田選手は「コンディションが難しい中、周を重ねるごとにどんどん路面が変化していくのに合わせるのが大変でした。自分の中ではコーナーによってはもどかしさも残ったところもありましたが、ダンロップ下は慎重にいって、ヘアピンは両方とも頭の入りも良くていけてた感じですね。いまの現状ではここが自分の限界かもしれません」とまとめた。
そして決勝レース。筑波サーキットのポールポジションはイン側スタート。コースの性質上、どうしてもウェットパッチが残るのが心配された。しかし、太陽が照り付け決勝スタート前にはなんとか乾いてくれたようだ。そんなTTC1400のスタート。レッドシグナル点灯からブラックアウト…3台のマシンが一斉に路面を蹴りだす。危なげなく1コーナーにトップで飛び込むのは荒川選手。その後ろを、添田選手と丸山選手が続く。レース直前に急遽マシントラブルで箱替えを余儀なくされた丸山選手は本調子ではない様子。じりじりとトップ2台から遅れていく展開。それに対し、中盤までマージンを築いたはずの荒川選手は終盤にかけて一気にそのマージンを吐き出してしまう。コンマ1秒ずつ添田選手が追い詰める。最終ラップにはその差がコンマ1にまでつまり、1コーナーでのブレーキング勝負。しかしここは荒川選手がインをしっかり〆て対応。そして、次の第1ヘアピンで一瞬ターンインが遅れた瞬間に添田選手が荒川選手のインへダイブ。しかし、添田選手がここでブレーキをロックさせてしまう。添田選手はそのまま荒川選手の助手席側に追突。荒川選手ははじき出されてしまいトップを明け渡してしまう。ここで気が動転してしまった添田選手。すぐにアクセルを踏み込むことができず一瞬たじろいでしまう。これが尾を引きバックストレートで荒川選手に並びかけられ再逆転。荒川選手は意地の走りでトップを奪い返した。この衝突が原因で添田選手は30秒のペナルティ。これを受けて正式結果では丸山選手が繰り上げ2位に。添田選手はシリーズポイントでも悔やまれる接触となってしまった。