Race Report
TTC Rd.3
2022 筑波ツーリングカーシリーズ第3戦
タイトルに王手!新筑波の帝王・荒川智弘選手が開幕3連勝を飾る圧勝で年間チャンピオンに王手をかける!!
酷暑が予想された第3戦。予想最高気温は36℃が伝えられ、エントラントもオフィシャルも身構えるほどの暑さの筑波サーキット。シリーズ後半に突入する筑波シリーズTTC1400/Vits Raceはそん中で予選を迎えた。現在開催される箱車レースの中では屈指の計量ボディを誇るスターレット。その軽さと非力なエンジンには箱車レースの魅力が凝縮されている。いかにボトムスピードを落とさず、テールスライドを押さえながら速度を乗せていく走りが求められるため、ドライバーに要求されるスキルは非常に高いものが求められる。まだ、暑さが本格的になる前の8時台から予選が始まった本クラス。それでも気温は32℃を超え夏日を記録。ここまで2連勝と勢いに乗る荒川智弘選手がこの大会も頭ひとつ抜き出るのかと思われたが、予選開始とともに荒川選手のマシンをトラブルが襲う。「もう随分と古いクルマなので、どこか調子が悪くなってもおかしく無いないですよね。アウトラップでいきなり吹けなくなってしまい、すぐにピットに戻り、とりあえずプラグを全交換しました」という荒川選手。そんな王者がいない隙にタイムメイクをはじめたのはゼッケン7丸山翔也選手だった。3周目に1分9秒187を記録し、一歩リードした状態を作り出す。その後ろを追いかけるのは添田蓮太郎選手。4周目、5周目と着実に自己ベストを更新しながら丸山選手を追送。5周目には僅か100分の1秒差まで丸山選手を追い詰めるもトップタイム更新には届かない。すると、プラグ交換を終えた荒川選手がアタックを開始。僅か1周で2人のタイムを抜き去り、ひとりだけ1分8秒台を記録する。その後も各選手アタックを敢行するが荒川選手のタイムを上回れるものはひとりもおらず、今シーズン三度目のポールポジションを獲得した。復帰組の山田納選手はスターレットに乗って4日目で4番手に食い込む。
そして、ギラギラとした日差しがアスファルトに照り付ける正午にはじまった15周の決勝。気温は36.7℃まで上がり、路面温度も56℃を記録する酷暑の中でスタートが切られた。ブラックアウトから余裕を持ってスタートを決めたのはポールシッターの荒川選手。3番手のスタートの添田選手が失速してしまったものの、ほぼ全車が好調な蹴りだしで1コーナーへ進入していく。さらに堀雅清選手がジャンプアップし、前にいた山田選手を捕え、コミネ勢の一角へ割って入る3番手へジャンプアップ。1周目を終え、トップは荒川選手。ひとり9秒台で後続に差をつけ、一定のマージンを後続に保つ余裕の走り。その後ろでは、徐々に離れていく丸山選手にじわりじわりと山田選手がファーステストラップを刻みながら追いついてくる。すると丸山選手にトラブル発生。水温が上がってくるマシンをどうにか最後まで持たせる走り。11周目の第2ヘアピンでシフトミス。その瞬間を見逃さなかった山田選手が並びかける。後ろを走っていた丸山選手も「段々近づいてはいたんですが、いつしかけるか悩んでいたところに丸山選手がミスしたので躊躇なく飛び込みました」とベテランらしいプレッシャーをかけてのオーバーテイク。最終コーナーで並ばれた丸山選手はここで3番手にダウン。クラス最後尾まで落ちた添田選手も持ち前の速さを見せて4番手に上がる。しかし、追い上げムードもここまで。15周のレースは荒川選手が2番手に2秒以上の圧勝でチェッカー!!これで荒川選手はシリーズタイトルに王手をかける20ポイントを獲得。シリーズ2位の丸山選手に20ポイント差をつけたことにより、次戦1ポイントでも獲得すればシリーズタイトルが決定することになった。不調を訴えていた丸山選手はチェッカー後にマシンストップ…。満身創痍の状態での決勝であったことを物語った。
今大会では2台の参加となったVitzレースは、予選から地元八千代町出身ドライバーの高橋モータースの高橋宏選手が圧倒的な速さでポールポジションを獲得。レースも毎周1秒以上の差をつけ2番手の山本広志選手を40秒近く引き離す独走状態へ。残り2戦への参戦も表明し、シリーズタイトル争いに急浮上してきた。
Winners Interview TTC1400

優勝
荒川智弘選手
「予選はトラブルもあって満足なアタックはできませんでしたがポールポジションを獲れて良かったです。きょうのレースに点数を付けるなら80点くらいですかね?マージンを持った中で、クルマの様子を見ながら走れたんですが、狙っていたセットがこうはんになると合わなくなってきてしまいました。暑さとの闘いという感じで、ボーっとすると後ろから追いつかれるときもあり、展開としてはもっとタイムだしていければ良かったですね。最終的にシリーズを考えても、規定ポイントはたまったので、次によっぽどのことがなければチャンピオンを獲れる位置にきたのは自信になりました。来年のポスターのど真ん中になりたいと思います」
2位
添田蓮太郎選手
「32年ぶりのレースで4回目の走行でした。予選はオーナーから教えてもらっていた回転数が合っていなくてタイムが全然伸びませんでした(笑)。予選が終わった後に、周りの友人たちに『他のクルマとギアチェンジの位置が全然違うよ!』と言われて決勝で修正したらタイムも伸びました。まだまだ走り込みが足りていないので、きょうのレースに点数を付けるほどではありませんが、次のレースもオーナーが『乗れ!』と言っているので参戦しようと思っています。次はもう少し練習して優勝争いをしたいですね」
3位
丸山翔矢選手
「もう、この暑さで待ち時間の間で朦朧としちゃって、暑さとの闘いでしたね。クラッチもメタルからノーマルに戻すなど不安要素もあったんですが、最近トラブル続きだったスタートもまあまあ良く決まってくれました。8周目くらいから水温が上がってきたところでミスを犯してしまい順位を落としてしまいました。そのあとも水温が100℃を超えてしまい、裏ストレートでも伸びがなく3速のままで走り切れちゃう感じでしたね。序盤、荒川選手についていく中で、タイヤマネージメント能力の差が浮き彫りになりましたね。後半にかけてどんどん離されていってしまったのは悔いが残ります。今日の自分のレースに点数を付けるなら15点ってところですね。」