Race Report
Super FJ Rd.1
2023 JAF筑波/富士スーパーFJ選手権シリーズ第1戦
名門ZAPに移籍を果たした新進気鋭の若武者に立ちはだかる2016年王者が涙のポールtoウィン!彼らを追いかけるルーキーが表彰台獲得!!
入門フォーミュラとして各サーキットで地方選手権が開催されるスーパーFJ。このレースを戦ってステップアップしていくレーサーが数多く存在し、昨年の筑波選手権王者・田上蒼竜選手も今年はFIA-F4選手権にステップアップを果たしている。ホンダ・フィットのL15Aベースのエンジンを搭載し、タイヤは昨年に引き続きダンロップのワンメイク供給。シャシーはマルチメイクが許されており、東京R&D製のRD10V、自動車工房MYST製のKKSシリーズが今回エントリーした車両に使用されている。開幕戦は総勢10台、その内40歳以上のドライバーで争われるマスターズクラスは2台が名を連ねた。その中には2016年の筑波選手権王者・小村明生選手の姿も。7年ぶりにカムバックし、ファーストガレージから参戦する。
開幕のレースウィークは常に雨模様。朝から降雨が続いていたが、ちょうど予選が開始される頃にはかなり雨脚が弱まる。セッション開始と同時に各車コースインしていくが、雨脚が弱まったとはいえ、コースには水溜まりが出来ている箇所もあり挙動を乱す車両が多い。
各車ウェット路面と格闘しながらタイムを削っていく中、早々にトップに立ったのは今回が人生初レース参戦という小田部憲幸選手。1分4秒台、3秒台と着実にタイムを更新していく。途中、マスターズクラスからエントリーする秋山健也選手がダンロップコーナーでスピンを喫し、リアウィングを破損。大事には至らずコース復帰も果たしたが、セッション途中でガレージイン。しかし、それまでに出したタイムで総合7位、マスターズでは1位のグリッドを確保した。その後も各陣営がアタックを続ける中、今回復帰を果たした小村選手が1分3秒546でトップタイム。他の選手はこのタイムを上回ることが出来ず、7年のブランクをものともせず、元王者の貫禄を見せつけた。昨年のゼンカイレーシングからZAP SPEEDに移籍した武者利仁選手は0.094秒及ばず1分3秒640で2番手に続いた。
「予選前に自分でも緊張しているなと感じていましたが、100%の力を予選で出し切れませんでした。ウェット路面にも関わらず、ライン取りやクルマの向き変えなどドライ路面の走りをしてしまいました。序盤は水しぶきが少なく、リアタイヤを使い過ぎた事もあって摩耗が心配です。決勝は雨量も多くなりそうですし、早めに前に出ていきたいです。」と武者選手が予選を振り返った。3番手には小田部選手が1分3秒660という僅差で続いた。「初めてのレース、初めての筑波のウェットでしたが、ドライではもっと差が開くと思いますし、モータースポーツは簡単に上手くいくとは思っていないので、精進していきます。」と謙遜の言葉で振り返る小田部選手。
そして迎えた決勝は天気予報通り、朝の予選とは打って変わって雨脚が強まる中でのスタート。路面コンディションと視界悪化の為、セーフティカー先導によるローリングスタートとなり、各車はウィービングとブレーキでタイヤに入念に熱を入れていく。4周目にはセーフティカーのランプが消え、翌5周目からレースが本格的にスタートした。ポールの小村選手を先頭に1コーナーに飛び込んでいくが大きな順位の変動は無い。2周目以降も各車ラップを重ねていくが、トップの小村選手に離されまいと食らいついていく武者選手。2人のギャップは1秒ほどを保っていたが、武者選手がミスをしたのか差が開く場面も見られた。小村選手も挙動を乱しながらプッシュしていく。トップを走る小村選手は2番手以降の選手に比べてクリーンな視界という大きなアドバンテージがることもあり冷静に周回を重ねていく。2人のラップタイムは他選手に比べて1秒弱速く、武者選手と3番手小田部選手の差もジリジリと開いていく。そしてチェッカーが迫ってくるとトップ2台の一騎打ちへ…。各車、雨による視界不良もあってかコースに留まるのも苦労している様子で、その後もレースに大きな動きは見られない。終盤に向けて武者選手が一度開いた差を詰めていくも、小村選手はこれを振り切りフィニッシュ。復帰初戦を見事にポールtoウィンで飾って見せ、名門ZAP SPEEDとのチーム対決も開幕戦はファーストガレージに軍配が上がった。2位には悔しい表情の武者選手、3位には初レース参戦の小田部選手が表彰台に登った。表彰式では、久々のスーパーFJでの優勝となった小村選手の目には光るものが浮かんでいた。マスターズクラスでは秋山選手が総合7位を守り優勝。本間隆史選手は総合10位、マスターズ2位で終えた。
振り返ってみると予選が非常に重要となったウェットのレース。次戦以降、ドライコンディションとなった時には勢力図は変わるのか、逆襲に燃える武者選手が優勝を奪うのか、小村選手が実力を見せ続けるのか大いに注目だ。今回4位以下に終わった優勝、表彰台経験者も黙ってはいないだろう。また、ZAP勢が意地を見せて優勝に返り咲くのかにも期待したい。
Winners Interview

優勝
小村明生選手
このカテゴリーは長年離れていたので内心ドキドキしていましたが、決勝を良い結果で終えることが出来てひと安心しています。ポールスタートということもあり、かなり有利になりましたが、武者選手が終盤近づいてきたので次戦以降もまだまだ怖い存在です。出場できなかった期間も含め、応援し続けて下さる方が居るという喜びもあって表彰台ではうるっと来ましたね。次戦以降もチャンピオン獲得に向け、全勝も狙っていきたいと思います。
2位
武者利仁選手
まだ1位になれる器ではないなと感じましたね。やはり、このコンディションでは予選でポールを獲らないといけないと思いますし、スタートも小村選手が絶妙なタイミングで加速し始めたので、やられてしまったなという感じでした。予選までは切り替えが上手くできなかったウェットでの走りも決勝では切り替えることができ、終盤の追い上げに繋がったと思います。次はポールtoウィン目指して頑張っていきます。