Race Report
TTC Rd.1
2023 筑波ツーリングカーシリーズ第1戦
視界不良お構いなし!!両クラスで勃発するドッグファイトがサーキットを熱くする。初参戦組の2人が躍動!シリーズを搔き乱す存在となるか!?
排気量1400cc以下のN1車両で争われるTTC1400は例年EP82型スターレットの参戦が大多数を占めるが、今年の開幕戦にも3台のスターレットが集まった。昨年王者の荒川智弘選手は今年別のシリーズに参戦予定の為、エントリーせず。昨年ランキング2位の丸山翔也選手は引き続きエントリーしており、どの様な戦いを見せるか注目が集まる。
天候は雨、気温11度、路面温度は13度の中、予選は8時20分からVitsクラスと同時走行で20分間に渡って行われた。セッション開始3分ほどで雨脚が強まるが、各車アタックを続ける。セッション終盤にはやや雨脚が弱まったが、そこでトップタイムを叩き出したのは丸山選手。1分12秒101をマークし、2番手には1分12秒815で梅原拓臣選手、3番手には1分13秒115で中島明秀選手が続いた。梅原選手はダートトライアルの経験はあるものの今回が初レース。なんと3月にライセンスを取得し、急ピッチで参戦に漕ぎつけた。予選までトータルの走行時間は1時間にも満たないという梅原選手は予選を振り返りながら、「コンディションが悪く、初めての予選で混走の中クリアラップを取る自信も無かったので早めにタイムを出してピットに戻ってきました。走行が終わって内圧を見ると、もう少し熱を入れても良いかなと思いました。急ぎで参戦している事もあってメンテナンスもあまり時間が取れなかったので、決勝に向けて温存作戦です。レースでは機会があれば早めに前に出て逃げたいですね。」と意気込む。
迎えた決勝は気温、路面温度共に予選開始時より1度前後上昇した程度だが、雨脚は強まった。セーフティカー先導によるローリングスタートとなり、各車クルマを左右に大きく振りながらタイヤに熱を入れていく。4周のセーフティカーランが終わり、丸山選手を先頭に加速。翌5周目には3番手の中島選手がコースオフを喫し、再度セーフティカーがコースイン。3周のSCランを終え、残り6ラップで再スタートが切られる。梅原選手が最終コーナーで距離を詰め、1コーナーでアウトから被せる。2台はサイドバイサイドのまま第1ヘアピンに突入し、イン側を取った梅原選手がトップに躍り出た。丸山選手は順位を取り戻そうと攻め立てていく。実は梅原選手、途中のSCラン中にフロントウィンドウが曇り、視界が遮られる状態でレースを進めていた。それが災いしたのか、残り3周で丸山選手がバックストレートから最終コーナーで詰め寄り再逆転を果たした。その後、丸山選手はギャップを広げていき、見事トップチェッカー。梅原選手は3秒差の2位でデビューウィンとはならなかったが、堂々の走りを見せた。
Vitzクラスは今回がハコ車のデビュー戦となる茂木優太選手が予選で2番手以下に1秒以上の差を付ける1分16秒916でポールを獲得。茂木選手はドリフトにカート、バイクやサイドカーレースの経験を持つという器用ぶり。アタック中、80Rで姿勢を乱しハーフスピン状態になる場面もあったというが、器用さが今回も発揮されたのか、決勝も楽しみな存在となった。2番手には高橋宏選手、3番手には宏選手の息子・高橋謙太選手が続いた。決勝でも親子対決が見られるか期待が寄せられる。
迎えた決勝はTTC1400クラス車両の後方から各車スタート。途中のSCランも経て本格的にレースが始まると、2番手の高橋宏選手が茂木選手を執拗に攻め立てる。最終コーナーからホームストレートにかけてグングン加速していき、1コーナーでミドルラインを取る茂木選手のインを差す。しかし茂木選手も粘り簡単には抜かせない。その後何度も高橋宏選手が1コーナーでインに飛び込み、2人はサイドバイサイドのまま第1ヘアピンに進入、茂木選手が辛くもポジションを死守する展開が続いた。「初めてという事もあり、あれ以上イン側のラインを走るとどれだけグリップが失われるか心配でした。ドリフトで追走の経験はあるので、高橋選手とのバトルも上手く出来ましたが、経験を積んでレコードライン以外のグリップ感を掴んでいれば、もう少し楽にポジションを守れたかもしれません。」と茂木選手がバトルを振り返る。互いに接触ギリギリのフェアなバトルでサーキットを沸かせたが、茂木選手が追撃を振り切り見事にトップでチェッカーを受けた。2位には高橋宏選手が僅差でフィニッシュ。3位には高橋謙太選手が入り、親子対決は父・宏選手に軍配が上がった。
こうして終えた開幕戦はTTC1400、Vitzクラス共にルーキーが大活躍を見せ、継続参戦組と熱いバトルを繰り広げられた。ルーキーながら実力者を脅かすレースを見せられると、シリーズ争いは非常に面白い展開になることが予想される。