Race Report
TTC Rd.2
2023 筑波ツーリングカーシリーズ第2戦
まさかの幕切れ!首位のペナルティにより中島明秀選手が優勝を勝ち取る!
開幕戦のリベンジを果たす!高橋宏選手がトップを見事に守り抜く優勝!
ニッサン・スポーツ・カー・クラブ(SCCN)主催のMAY RACE MEETING in TSUKUBA併催という形で第2戦が開催された。やや蒸し暑さが感じられるものの、前戦とは打って変わってドライコンディション。パドックでは、内圧確認・調整を綿密に行うチームが多く見られる。Vitzクラスのエントリーは開幕戦から2台減り、高橋宏選手、茂木優太選手の2台が参戦。TTC1400クラスは変わらずスターレット3台のエントリーで、両クラス合わせて5台の出場だ。
9:40から15分間の予選が始まり、セッション序盤から目まぐるしく順位の入れ替わりが起きた。TTC1400クラスでは最終的に開幕戦ウィナーのゼッケンNo.7丸山翔矢選手が最後のアタックで1’08.937をマークし、2戦連続の予選クラストップタイム。唯一の1’08秒台となり、2番手には中島明秀選手が1’09.187、3番手には梅原拓臣選手が1’09.562で続いた。予選後の梅原選手からは「気温が高いせいなのか、ストレートが思ったよりも伸びないですね。暑い時のクルマ特有のパワーが出にくいというのもありますが、前の2台と比べても遅い感じです。今日は仕方ないですが、もう一度しっかりメンテナンスした方が良いかもしれません。」とのコメントがあり、”ベテラン”のクルマでは特にマシンの調整が大きく結果に影響することが推測される。Vitzクラスにおいても高橋選手と茂木選手が互いにタイムを更新し合い、順位を争う。2人は開幕戦で猛烈なバトルで魅せてくれたが、この予選でも激しい意地のぶつかり合いが伝わってくる。高橋選手は最後の計測ラップで1’13.497をマークし、クラストップタイムを叩き出す。茂木選手は1’13.666で及ばなかったが、「予選は少しアンダーステア傾向だったので、決勝に向けてはフロントが入る様に調整します。」との事で、具体的にはリアの内圧を極端に上げるトライを試みたという。
そして迎えた決勝レース。15周で争われるが、正午を過ぎた頃のスタートという事もあり、路面温度は40℃を超える。マシンにもドライバーにも厳しいコンディションだが、それを乗り越えて優勝を勝ち取るのは果たして誰なのか、緊張のスタートが切られる。全車グリッドにロックオン、レッドシグナルが消え一斉にスタート。まずトップで1コーナーに入るのは丸山選手。2番手、3番手もグリッド順で1コーナーに進入していく。Vitzクラスでは茂木選手の加速が良く、高橋選手にアウトから並びかけていくが、ここは高橋選手がポジションを守る。トップの丸山選手は、1周目を終えて早くも中島選手に対してリードを築いていく。中島選手の背後には梅原選手がピタリと付いておりプレッシャーを掛ける。コーナーでは追い付くが直線スピードが伸びない影響か、仕掛けるまでには至らず、もどかしい状況が続く。レース展開は落ち着いているが、各車予選を彷彿とさせる攻めの走りで激しいロールによるインリフト、挙動を乱す姿も見られる。Vitzの高橋選手と茂木選手の差は大きくはないものの、オーバーテイクを狙うにはもう少し詰めておきたい距離感でレースが進む。しかし終盤に向けて茂木選手が徐々に差を詰めていき、1コーナーのブレーキングでノーズを入れようと伺うも、高橋選手は早めにインを閉めて応戦。抜きどころが少ない筑波では前を走る者が圧倒的に有利だ。互いに開幕戦とは真逆の立場で優勝を狙うが、高橋選手が終始首位を明け渡すことなくトップチェッカー。見事に開幕戦のリベンジを果たした。
一方のTTC1400は丸山選手が独走状態で、中島選手とのギャップは約5秒にまで開いている。そのギャップを保ったままトップチェッカーを受け、喜びを露わにする。しかし、レース後に丸山選手に対し2分のタイム加算ペナルティが科せられた。原因は四輪脱輪による走路外走行。レース後、最終コーナーを指差しながら「あそこですね」。これを3度行ったとして、タイム加算が下ったのだ。まさに手の平から優勝がこぼれ落ちた丸山選手はチームスタッフに謝罪し、悔しさが滲む。これにより2番手でチェッカーを受けた中島選手が優勝、梅原選手が2位という結果になった。
まさかの結末となったが、丸山選手は予選クラストップから毎周の様に果敢にプッシュする熱い走りと速さを見せており、次戦は必ずリベンジに燃えて挑むことだろう。