Race Report
TTC Rd.3
2022 筑波ツーリングカーシリーズ第3戦
酷暑の筑波サーキットはタイヤマネージメント能力が試されるレースに
TCC1600 は貴島康博選手が、TTC1400クラスは丸山翔矢選手が圧勝
数年ぶりの開催となったTTC1600クラス。もてぎシビックに参戦するメンバーが集まって筑波で熱い走りを見せた。久しぶりにサーキットに響くB16 Aの甲高いレーシングサウンドはホンダらしい心躍るもの。中でもこのレースに強い想いを抱いて参戦したのはKrac Beast Racingの貴島康博選手。主戦場の鈴鹿からいつもはTBOでの参戦が主だったが、今回は体調を崩しているKRACチーム代表に、どうしてもこの筑波の優勝トロフィーを贈って元気付けたいとKRACのマシンを使っての参戦となった。そんな貴島選手は2017年ぶりのシビックでの参戦となる。
そんな貴島選手の公式予選。2週間前にこの猛暑での確認をしたいとテストを行ったが、路面温度が60℃を超えるとタイヤが言うことをきかない状態だったという。「アイスバーンの逆のホットバーンとでもいう状態ですね…」と貴島選手。まずはファーストアタックを済ませるとすかさずピットイン。この時点でトップタイムをマークするも、2番手にもう少し差を付けようと2セット目の新品タイヤを投入し、タイヤマネージメントを考えながらポールポジションを獲得する。一方、地元出身の鯉渕貴比古選手は1セットのみでの予選。2周目に自身のトップタイムをマークするも、その後更新することはできず2番手で終わってしまう。
そして、路面温度60℃を超える中での決勝レース。予選タイムを考えるとグリッドに付いたフロントローふたりの一騎打ちの状態だ。この時、貴島選手は予選で3周ほど使ったユーズドタイヤを装着。一方、鯉渕選手は厳しい路面を想定して、ここで新品タイヤを投入してきた。タイヤのマイレージは圧倒的に鯉渕選手が有利。グリッド整列後、全車一斉にスタートを切ると、貴島選手がホールショットを決める。しかし、ここで圧倒的に有利だったのは新品タイヤの鯉渕選手。予選の結果からタイヤマネージメントをしていれば、確実に優勝できると思っていた貴島選手を後ろから突きはじめる。意外な状況に焦る貴島選手。2周目にファーステストラップを鯉渕選手がマークするも前には貴島選手。車体の大きなシビックで、筑波でしかけるとしたらバックストレート、ないしは第1コーナーに限られてしまう。無理やり第1ヘアピンで飛び込むこともできるが、そこまでのスピード差はない。さらに前を行くのはベテラン貴島選手。鯉渕選手にタイヤを使わせながら前でペースをコントロールすると、鯉渕選手のタイヤもこの暑さで悲鳴を上げてしまう。最終ラップまでこの順位は変わることなくチェッカー‼貴島選手がKRACチーム代表に捧げる優勝を手にした。
一方、シリーズ争いが激化しているTTC1400クラスは丸山翔矢選手がポールtoウィンを決めている。予選でも3度ピットインしながらタイヤを冷やしアタックをする余裕を見せ、2位の梅原拓臣選手にコンマ4秒差を付ける8秒台でポールポジションを獲得する。2番手にはランキング2位に付ける梅原選手が、そして3番手にはカムバック組のませきかつみ選手がつけた。決勝はスタートから丸山選手が好ダッシュ!「過去イチの蹴り出しでしたね」と振り返るほど丸山選手が飛び出してホールショット。トップで1コーナーに入ると丸山選手は2番手に徐々に差を広げていく。すると後続ではませき選手が梅原選手をオーバーテイク。この結果、2位争いが激化して丸山選手は楽な展開に…。最終的に2位に4秒以上の差をつける圧勝でゴールを果たした丸山選手。今季2勝目を挙げ、ランキングでも2位を突き放し10ポイント差をつけることに成功した。
また、ヴィッツレースでは茂木優太選手と高橋宏選手、謙太選手が新規参戦してきたジェネリック内田選手を迎え撃つ構図。しかし、数々のプロダクションレースを走ってきたベテラン・ジェネリック内田選手は速かった。予選では茂木選手に走路外走行でペナルティが下されベストタイムが抹消されはしたが、ジェネリック内田選手はその茂木選手よりもコンマ2秒速いタイムでポールポジションを獲得。さらに決勝ではホールショットを決めると安定した走りで2位に着実に差を付けながら、最終的には2秒以上の差を付けてのトップチェッカー。ファーステストラップも奪う完全制覇でこのレースを掌握した。