Race Report
Super FJ Rd.8
2024 JAF筑波/富士スーパーFJ選手権シリーズ第8戦
三つ巴の激戦を見せる最終局面!!ZAP伊藤駿選手が圧巻の完全勝利でシリーズチャンピオン獲得!
上位3名が僅差でひしめく王座の争い
暑い試合が続いた季節が過ぎ、晴れた秋空の下で開催されたJAF筑波スーパーFJ選手権シリーズ。モータースポーツの登竜門として多くのトップドライバーを輩出するスーパーFJ。今回はネクスト世代のトップドライバーは誰になるのか。
昨年シリーズは打倒・小村明生選手のシーズンだったが、今年は序盤のセンドラ船戸アレックス翔太選手の勝利から始まり、ELEVレーシング10VED角間光起選手の2勝、そしてファーストガレージKK-SⅡ酒井翔太選手、ZAPSPEED10VED伊藤駿選手が1勝ずつを獲得してきた。そのため、ランキングも例年以上に上位が混戦の様相を見せている。まずトップは角間選手で65ポイント、2位が伊藤選手の63ポイント、3位にファーストガレージ制動屋S2石井大雅選手で61ポイントだ。3名の間はわずか4ポイント差。王者になる権利が上位3名に等しく与えられている。勝利の女神は誰に微笑むのか、王座への階段は予選レースから始まった。
目まぐるしい予選を制した伊藤駿選手
公式予選の開始時刻8時40分になり、各車がコースイン。いきなりファーストガレージKK-SⅡ津田充輝選手が59秒408でトップに立つ。しかし3周目に酒井翔太選手が59秒342で上回る。4周目に入ると伊藤選手が59秒167で1位に立ち、さらに角間選手が59秒159と100分の1秒差で超えてくる。さらにファーストガレージ10EVの中村ブンスームが59秒166で2位に着く。5周目に入ると伊藤選手が58秒937でトップに立つ。酒井選手、角間選手もタイムを更新するも伊藤選手には届かず。そこへファーストガレージKK-S2落合蓮音選手が58秒928をマークして1位に浮上。7周目に入ると酒井選手が58秒887でさらに上回る。しかし8周目の伊藤選手が58秒837でトップに返り咲く。折り返しの残り10分になると10周目の伊藤選手が58秒630でタイムを削る。2位以下は0.2秒差のタイムに5人がひしめき合っている。終盤に差し掛かる残り3分半で、酒井選手が58秒702をマークして4位から2位に浮上する。残り2分になると、今度は5位だった津田選手が3位に気合のポジションアップ。ここぞとばかりに各選手がラストアタックを仕掛けるが順位の変動は起きずに予選が終了。ポールポジションは伊藤選手がゲット。並ぶフロントロウは酒井選手が獲得した。また、ランキングトップの角間選手は6番手、3位の石井選手は9番手での決勝スタートとなった。
伊藤選手は「マシンは無敵ですね。速過ぎて勿体無いくらい」とセットアップの調子の良さについてコメント。「自分のミスが痛かった」と酒井選手は悔しさの色を滲ませた。
激しく繰り広げられる入賞争い 決勝戦はポールポジションにZAP伊藤選手、他5番手まではファーストガレージ勢が並ぶ構図となった。サードロウにいる6番手の角間選手、そして9番手の石井選手がどこまで駆け上がるかに注目が集まる。フォーメーションラップ後、シグナルのブラックアウトとともに一斉にスタート。伊藤選手がホールショットを決めて1コーナーに進入。同じくフロントロウの酒井選手が続いてトップの背後に付く。すぐ後ろでは1ヘア進入部分で3番手の津田選手がアウト側に広がった隙を逃さず、イン側に入った4番手の落合選手が綺麗にパスして3位にポジションアップ。角間選手もスタート時に5番手中村ブンスーム選手を捉えて5位に上がる。4位となった津田選手に狙いを定めてテールトゥノーズでホームストレートを抜けていく。伊藤選手は酒井選手の間合いを保ちながら走り、2周目に入る。3周目、スタート後に1人抜いた石井選手が、さらにYUTA SUZUKI選手をパスして7位へポジションアップ。最終コーナーを抜けて角間選手の背中を捉えると、4周目の1コーナーで角間選手をオーバーテイクに成功。石井選手が5位、角間選手が6位となる。5周目になるとトップの伊藤選手は依然とタイムを更新し続け、59秒119をマーク。2位の酒井選手とは0.743秒のビハインド。一方、3位の落合選手は酒井選手と1秒034の差が付き、6周目には1秒240と着々と間が空き始めてしまう。それどころか、4位津田選手との差が5周目、6周目と詰まり始め、ディフェンシブな走りを強いられてしまう。
安定した走りを見せた伊藤選手がトップチェッカー
スタートから落ち着いた走りを続ける1位の伊藤選手。7周目に入ると後続の酒井選手と1秒015の差を空け、10周目には1秒209のビハインドになる。同じ10周目、3位の落合選手は4位津田選手と0秒264差で引き続き防戦の一方だ。酒井選手も仕掛けようとするも伊藤選手との差は縮まらず、13周目に入ると1秒497まで離される。その後酒井選手が0.2秒縮めると、伊藤選手が0.2秒離す一進一退が続く。終盤に入り、1つでも順位を上げようとドライバー達の士気が上がる中、一際の闘志を見せたのが角間選手だった。自らの前を走る石井選手と16周目に0秒190差、17周目に0秒128差まで近づく。だが、石井選手の堅いブロックの前に、順位を上げることが叶わない。伊藤選手は最後までトップを守り切って優勝。2位に酒井選手、3位に落合選手、4位津田選手、5位石井選手、6位角間選手と続く結果となった。この結果をもって、伊藤選手が年間チャンピオンに確定。ランキング2位に角間選手、3位に石井選手となった。4名が出場したマスターズクラスはスーパーウィンズKKS2の秋山健也選手が優勝した。
「スタートで1速から2速に入れようとした時にミスしてしまったのですが入って良かったです。路面温度が高かったのでタレもありましたが、コンディションを上手く合わせながら走れました。後ろの酒井選手との距離感は気にしていました。流石に速いと思いましたね」と伊藤選手は振り返った。
Winners Interview

優勝
伊藤駿選手
年間優勝できて一安心です。序盤はつまづいていたので、何だかんだ最後順位を戻せたのが嬉しいし、すごく安心ですね。途中から取り戻せたのは車のおかげです。周りの方の協力もあって、シリーズ前半とは違った感覚で走れました。前は回ってなかったところが回っていて、乗っていて気持ち良かったです。ワンメイクと言いながら、ワンメイクではない差もあると思いました。4年振りの出場でしたが、運転の鍛錬は以前と比べ物にならないほどやっていたので特にブランクは感じませんでした。
2位
酒井翔太選手
スタートでクラッチが滑り出してしまって、ブレーキを踏んでたんですけど、気づいた時にはランプが消えていました…。ペース的には悪くなかったので、スタートで前に出てアウトから粘って粘ってねじ伏せようと思っていたんですけど、それも出来なくて。苦しかったですね。今年の前半から見れば表彰台にも乗れて良い結果かもしれませんが、正直満足はしていません。まだ自分の中に足りない部分が多いので今年中に見つけて、来年に向けて準備できたらなと思います。