Race Report
Super FJ Rd.7
2024 JAF筑波/富士スーパーFJ選手権シリーズ第7戦
シリーズタイトル争いに異常あり!急激に詰まるポイント差!近年稀に見る激戦で、明暗分かれた第5戦!!
伝統の筑波Super FJは大混戦
ここ数年、毎年のように圧倒的な強さを誇るドライバーが現れチャンピオンを奪ってステップアップしている。昨年度の王者・小村明生選手はSUPER耐久へ参戦を果たし、一昨年度王者・田上蒼竜選手はFIA F4へ参戦を果たした。しかし、今年はどうやらその様相が異なるようだ。センドラ船戸アレックス翔太選手の圧勝ではじまった2024SuperFJ 筑波シリーズだが、第2戦・第3戦を制したのは角間光起選手、そして第4戦は後半調子を上げてきている酒井翔太選手がタイトル争いに名乗りを上げる勝利を挙げている。そして第3戦から欠場が続いているセンドラ船戸選手が獲得している30ポイントがこのシリーズランキングに混沌さをプラスしているのだ。
ランキング上位陣にとってこの第5戦はシリーズタイトル争いに残るためには非常に重要な1戦。もちろんここでタイトルを決めることができる選手は誰一人いない。まず重要なのは予選順位だ。全ての選手が必死な思いでアタックへと向かった。
命運を分ける予選は酒井翔太選手がポール 定刻通りコースインがはじまったS-FJの公式予選。まず序盤にタイムを上げてきたのはファーストガレージKK-S2の津田充輝選手だった。すぐに前戦で優勝を勝ち取ったファーストガレージ酒井翔太選手がタイムを上げてくるが津田選手には届かない。その間隙を縫うように同門で戦う石井大雅選手が津田選手のタイムを更新し、リーダーボードのトップにその名を刻む。するとZAPSPEEDの伊藤駿選手が5周目にトップタイムを更新することに成功する。残り5分となってもこの伊藤選手のタイムはリーダーボードのトップをキープ。しかし、ここで意地を見せたのは後半上り調子の酒井翔太選手だった。伊藤選手を僅か1000分2秒上回る驚異のタイムをマークする。この結果、ポールポジションを獲得したのは酒井選手。2番手にはファーストガレージ勢の間に割って入るようZAPの伊藤選手が飛び込んだ。そんな伊藤選手は「ようやくここに戻ってこれたと思っています」とこの予選を振り返る。ポイントランキング1位の角間光起選手は4番手。「思った場所とりができなかったです。悪い流れを最後まで変えることができなかったのは悔しいですね」とコメント。この位置から勝利を狙う。
ポイントリーダーがまさかのリタイア
久しぶりに訪れたファーストガレージとZAPSPEEDの2台がフロントローを分かち合う構図に、ライバル心を露わにするふたり。スタート時には路面温度が50℃を超え灼熱の暑さ。いつもとは異なる雰囲気は何かが起こる予感だ。そんなフォーメーションラップでマスターズクラス秋山健也選手がドライブシャフトの破損でピットレーン手前でマシンを止めてしまう。
そして18周のレースがスタート。ホールショットを決めたのはポールスタートの酒井選手。その後ろは予選順の通り、伊藤選手、石井選手、角間選手が続く。トップ酒井選手は後続を若干引き離してオープニングラップをトップで帰ってくる。上位3台が混戦状態で中盤へ!そして波乱が起こったのは5周目の第2ヘアピンだった。1コーナーからS字にかけてグッと酒井選手との距離を詰めに入った2番手の伊藤選手。第1ヘアピンを立ち上がり、ダンロップを抜けるときにはテールトゥノーズに…。そして、ここが勝負どころと決めた伊藤選手は第2ヘアピンで酒井選手のインへ飛び込む。アウトから被せる酒井選手、インにフロントタイヤをねじ込んだ伊藤選手。ここで伊藤選手のフロントタイヤと酒井選手のサイドポンツーンが接触。酒井選手は押し出されるようにスピンしてしまいアウトサイドにマシンを止めてしまう。このクラッシュでレースは赤旗が提示された。
チャンピオン争いはさらに激戦へ…‼
レースが再開されたのはそれからおよそ15分後。SC先導のローリングスタートでレースが再開。するとトップに立った伊藤選手を2番手に上がった石井選手が1コーナーで並びかける。S字ではインサイドとアウトサイドが入れ替わるも第1ヘアピンまで並走を続けるふたり。直前に起こった接触の記憶がまだ新しい伊藤選手には強烈なプレッシャーがかかったことだろう。ホイールトゥホイールで第1ヘアピンを先にぬけたのは石井選手だった。トップを奪還した石井選手は徐々に伊藤選手を引き離す。だが、この日のSFJはこれでは終わらない。伊藤選手が仕掛けたのは11周目。一気にトップを走る石井選手との差を詰め、12周目の第1コーナーで再逆転‼石井選手も食らいつくが、三度逆転することは叶わず2位となった。熾烈な3位争いを制したのは津田選手。ランキングトップだった角間選手は4位に終わってしまう。
この結果、最終戦を前にJAF筑波Super FJ選手権シリーズのタイトルは3人に絞られた。トップは角間選手65ポイント、2位は伊藤選手63ポイントとその差は僅か2ポイント。3番手からタイトルを狙うのは石井選手61ポイントだ。最終戦はこの3人のうち誰が勝ってもシリーズチャンピオンが確定する。ランキングトップの角間選手は「きょうは最低でも表彰台をとって石井選手の前に出たかったんですが、その願いは叶いませんでした。最終戦は本当に石井選手との一騎打ちになると思うので自分はいつも通りに、5月の2連勝のときのように走りたいですね」とコメント。まさに目が離せないシリーズとなっている。
Winners Interview

優勝
伊藤駿選手
決勝はスタートが大事だと思っていったんですが、酒井選手の蹴り出しも良く、どう料理しようかと考えていました。でも、向こうが案外早くミスをしてくれたのでパスできました。その後の首位争いでは、普段から僕は無理に突っ込まないタイプなんで、向こうもこないとこっちがこないと思ったと思うんですね。だから、インが空いた瞬間に飛び込んでオーバーテイクできました。水温が上がり過ぎないように車間を管理しながら走ったのも良かったと思います。最終戦は真っ向勝負でぶつかりたいと思います
2位
石井大雅選手
赤旗が出るまでは正直仕掛けようがない感じでした。その間はタイヤを温存したり、水温を上げ過ぎないようにしていたんですが、赤旗後はリスタートを決めようと思っていきました。ただ、その時に自分のペースがなかったです。今年の筑波ではじめてラップリーダーになったことで甘さが出てしまいました。次はチャンピオンシップ的にも自分が後ろになってしまったので、気を引き締めて頑張ります