Race Report
Super FJ Rd.3
2021 JAF筑波/富士スーパーFJ選手権シリーズ第3戦
スタート直後のアクシデントを回避した野島遼葵選手が大差で2連勝を達成!
3月の第1戦からルーキーの活躍が目立つ2021年のJAF筑波/富士スーパーFJ地方選手権シリーズ。第1戦、第2戦とも決勝レースがウエットだった上に、沖縄地方から近畿・東海地方に掛けて観測史上最速ペースで梅雨入り宣言される中、レース開催週の天気予報もいまひとつスッキリしないものだった。しかしそんな不安をよそに、決勝当時は見事な晴天となり、前夜のにわか雨で湿ったコースも予選開始となる8時40分にはすっかりドライとなり、ドライバーにとってはようやく本領が発揮できるコンディションとなった。
第2戦で初優勝を飾った野島遼葵選手からコースインが始まった公式予選は、序盤から前戦2位だった安田航選手とのポジション争いが白熱。安田選手が4周目に野島選手の前に出てアタックを開始すると、2台は決勝レースかのような走りで周回を重ねていく。そんな中で密かにポジションをアップしてきたのが本田千啓選手。前戦を7位で終えコースインのタイミング後方だったことを逆手に取り、前後の間隔を大きく確保して自分のペースで周回を重ねていたのだ。「普段、予選では気が焦って詰め気味になりがちなので、今回は自分の前に目標を置かず、ひとりで走ると決めていたらトップタイムが出たので“これでいいんだ”と自信になりました」との言葉どおり4周目に8番手、5周目には3番手、そして7周目についにリーダーズボードのトップに躍り出る。
これに対して安田選手は9周目にトップを奪い返し、13周目に59秒467のベストタイムを記録。2番手に59秒524の本田選手、第2戦優勝の野島選手は59秒758で3番手となった。さらに4番手には59秒788で武者利仁選手、5番手に59秒814の下村剛司選手、6番手に59秒868の関根陽幹選手が続き、ここまでの6台が59秒台をマーク。続く7番手の1分00秒035の秋山健也選手、8番手の1分00秒045の坂野貴毅選手も1分切り目前というハイレベルな争いを展開。ところがセッション終了後に安田選手に2回の走路外走行が認定されて2グリッド降格が決定、本田選手がS-FJキャリア初のポールポジションを獲得。2番手に内藤選手、3番手で安田選手が続くこととなった。
予選時に19.5℃だった気温は23.6℃になり、路面温度も25.6℃から38.2℃まで上昇した午後12時42分、18周で争われる決勝レースがスタート。ポールポジションの本田選手は絶妙なスタートを決めトップで1コーナーに進入するが、アウトに膨らみかけてステアリングをインに切り増した際に縁石に乗り上げ痛恨のスピン。他車を巻き込まない単独スピンだったものの、これによってスタート時点のポジションが大きく入れ替わる。
この混乱をいち早く抜け出したのが「スタートはうまく決まりましたが、1コーナーは無理にインを狙わず外から攻めていこうと考えていたので、本田選手のイン巻きをうまく避けることができました」という野島選手。これに続いたのが予選7番手の秋山選手。4列目イン側からスタートして1コーナーのアクシデントを冷静に見極めた秋山選手は、アウトに逃げる他車と逆にイン側にマシンを滑り込ませて2番手を奪取。3番手には予選6番手の関根選手、4番手に予選4番手の武者選手、5番手に予選3番手の安田選手が続くオープニングラップとなった。
秋山選手から安田選手までがひとかたまりとなった2番手グループでは、秋山選手が関根選手の猛プッシュを浴び続けながらベテランのテクニックで隊列を率いる中、安田選手が動きを見せる。「野島選手が先に行ってしまったのは見えていましたが、予選でタイムは出ているし自分のマシンは速いことが分かっていたので、1台ずつ抜いて18周で2位になるイメージで冷静にレースを運びました」と6周目に武者選手をパスして4番手に浮上。さらに15周目、ストレートの伸びの良さに自信を持つ安田選手がバックストレートエンドで関根選手を抜き去り3番手を奪い取る。自身のストロングポイントを的確に把握し、冷静に決勝レースの周回数を重ねることで虎視眈々とチャンスをうかがい、最終ラップのバックストレートエンドで今度は2番手の秋山選手に並びかかり、立ち上がり加速で前に出て開幕から3戦連続で2位表彰台を獲得してみせた。
オープニングラップから独走となっていた野島選手は2位に8秒881の差をつけて余裕の2連勝。2位に安田選手、最終周まで2番手を堅持した秋山選手は2戦連続の3位。4位に関根選手、5位に下村選手、6位に坂野選手、7位に武者選手、そして1周目のスピンで9番手まで後退した本田選手は悔しい8位フィニッシュとなった。

「1コーナー進入でリアが出そうになり、アクセルで立て直すとアウト側のマシンに当たりそうな気がしたので、ハンドルを切り増したらスピンしました」と#7本田選手。「初めてのポールポジションでは得てしてそういう結果なることがあると言われましたが、次は自分のタイムでポールポジションを獲って優勝します」とレース後は気持ちを切り替えていた。

1周目の波乱を無難にやり過ごして、3周目には早くも大きなアドバンテージを築いた#66野島選手。「予選の時には1コーナーと1ヘアピンがしっくりこなかったのですが、決勝で自信を取り戻すことができました」。最終的には2位に8秒881のギャップを作り余裕の2連勝となった。

6周目から14周目まで続いた#3秋山選手、#1関根選手、#52安田選手の3台による2番手争い。経験豊富な秋山選手の巧みなテクニックが冴え渡るが、その中で安田選手は機会をうかがい続けていた。冷静沈着な判断力と僅かなチャンスを見逃さない瞬発力はS-FJルーキーとは思えないほど。

最終ラップの最終コーナーで#3秋山選手のインに飛び込み、並びかかる#52安田選手。「練習走行時からシフトタッチに若干不安があって、この時も立ち上がりで4速から5速で引っかかってちょっと焦りましたが、うまくシフトアップできて先行できました」。次戦以降の活躍にも期待したい。
Winners Interview

優勝
野島遼葵選手
「前日練習でマシンのセッティング、自分自身のフィーリングとも良好で心境的にも余裕があったので、全力で行くだけという手応えは得ていました。1コーナーは無理にインを狙わず外から攻めていこうと考えていたので、本田選手のイン巻きをうまく避けることができました。その点では見事に思惑通りの展開です。後は前だけを見て、予選時に懸念していた1コーナーと1ヘアピンも修正できたので会心の勝利です。これで2勝となりますが、ライバルの動向もさることながら自分が勝ち続けることでシーズンを有利に進めたいと思います」
2位
安田 航選手
「デビューイヤーで3戦続けて決勝2位なら悪くないと思われるかもしれませんが、勝たないと意味がないので歯がゆい思いもあります。オープニングラップで野島選手が先に行ってしまったのは見えていましたが、予選でタイムは出ているし自分のマシンは速いことが分かっていたので、2番手グループの中で1台ずつ抜いて18周で2位になるイメージでレースを運びました。走路外走行でポールポジションを失っていなければこのような結果にはならなかったと思うので、次こそポールtoウィンを実現します」