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Race Report

Super FJ Rd.4

筑波チャレンジクラブマンレースの1クラスとして、8月1日(日)に開催されたJAF筑波/富士スーパーFJ選手権シリーズ第4戦。前戦から2か月以上のブランクを挟み、気温も路面も5月から10度以上も上がりドライバーにもマシンにも厳しい真夏のコースで、シリーズ後半戦を占う熱い一戦が展開された。

2021 JAF筑波/富士スーパーFJ選手権シリーズ第4戦

予選、決勝ともに盤石の展開で完勝!! 野島遼葵選手3連勝でライバルをリード

5月の第3戦から2カ月以上を経て、季節もすっかり移り変わった筑波サーキット。相変わらず新型コロナウイルス感染症のまん延が日常生活に影響を与えているものの、様々な感染対策を行うことでモータースポーツにも徐々に新しいペースができつつある。とはいえ猛暑に見舞われる2021年の夏、サーキットにおいては感染症対策とともに熱中症対策にも万全の注意が必要となっていた。

午前9時5分から開始された公式予選は、第3戦を制した野島遼葵選手からコースインを開始。この時点で既に気温は既に30.2度、路面温度も40.6度に達しており、いかにタイヤがフレッシュな間にラップタイムを刻んでおくかがポイントとなる。

ここで早めに仕掛けたのが2連勝中の野島選手。「マシンが思い通りに走ってくれたので、まずは単独で攻めて、どの程度のタイムが出るかを把握しました」と先制のアタック。安田航選手が一度上回ったものの、スリップストリームをうまく使いながら野島選手は、再度タイムアタックを行い、6周目に1分00秒314のベストタイムを記録。第3戦の公式予選でベストタイムを記録した安田選手も積極的にアタックを繰り返すが「真夏のS-FJレースは初めてで、路面が思った以上にすべり新品タイヤのパフォーマンスを発揮できませんでした」と野島選手には一歩及ばない。一方、前戦で自身初のポールポジションを獲得した本田千啓選手は、前回と同様にターゲットを設定せず自分のペースでラップタイムを刻む作戦でアタックを行うも「路面もタイヤも前回とコンディションが大きく異なっていたことで、自分自身が熱くなりすぎて小さなミスを重ねてしまい、1周全体でベストとなる周回が作れませんでした」と悔しそうな表情。

20分間の中でうまく時間を配分した野島選手は、早めにベストタイムを記録する作戦が奏功して見事にポールポジションを獲得。2番手は0.014秒差の1分00秒328で安田選手となり、本田選手は1分00秒494で3番手を獲得。続く4番手には1分00秒500で下村剛司選手、5番手に1分00秒590の関根陽幹選手、6番手には1分00秒887の秋山健也選手が続き、7番手は1分00秒938で坂野貴毅選手、8番手に1分01秒022の澤井良太朗選手、9番手に1分01秒176の中村俊行選手、10番手に1分01秒557の林寛樹選手、11番手に1分01秒754の塚本成人選手の順で公式予選を終了した。

気温35.2度、路面温度55度と真夏の太陽が容赦なく照りつける午後12時55分、決勝レースがスタート。ポールポジションの野島選手はレッドシグナル消灯に合わせて絶妙のタイミングで好スタートを切り、アウト側からでフル加速で追いすがる安田選手を振り切って1コーナーに進入。安田選手に続いて本田選手、下村選手、関根選手、秋山選手と公式予選の順序のまま1コーナーを抜けてオープニングラップをクリア。予選後に「決勝では序盤からタイムを出せるよう作戦を練ります」と語っていた安田選手だったが、早くも2周目からその目論見に黄信号が灯る。予選時にも1度、コーナリング中にエンジンがバラつく症状が出てピットインしていたが、その際は原因が特定できず不具合も再発しなかった。そのトラブルがこのタイミングで出てしまったのだ。「左コーナーで4気筒が吹けない、ガス欠のような感じです。ストレートと右コーナーでは出ないのですが、S字コーナー1個目、第1ヘアピン、80Rコーナーで“バラバラッ”と来ちゃって、これでは野島選手を追うどころの話じゃないと」とレース後に安田選手は語った。

あっという間に離れていく野島選手に対して2番手をキープする作戦に切り替えた安田選手の後方で、その異変に気づいていたのが本田選手。「安田選手のペースが上がらなくなり早めに抜いておきたかったです。しかし接近戦でのレースの組み立てに手間取るうちに後続集団に迫られてしまい……。第2ヘアピンの突っ込みは勝負どころでしたが、下手に動くと後ろから差し込まれるリスクもあり、抜くまでに至りませんでした」とこちらも我慢のレースを強いられることになっていた。

18周の決勝レース後半には、安田選手と本田選手、そして下村選手をパスした関根選手の3台による2番手争いはいっそう激しさを増したものの、安田選手はマシンの不調を抱えながら巧みにレースをコントロールしながら集団をリード。大きく左に回り込む第1ヘアピンの立ち上がりではエキゾーストノートがバラつき加速の悪さが見て取れていたが、それがコース全域で発生するわけではないため本田選手と関根選手も一気に攻めきれず、団子状態のまま周回数を重ねる展開となった。またその後方では下村選手、秋山選手、坂野選手が5番手争いを繰り広げていた。

この結果、2周目以降は完全に独走状態となっていた野島選手が2位に11秒615の大差をつけ、ポールtoウインで3連勝を達成。2位に後続を抑えきった安田選手、安田選手から0秒231遅れの3位に本田選手、さらに0秒281差で4位の関根選手までは、まさに僅差となった。続く5位は前戦に続き下村選手、6位に秋山選手、7位に澤井選手、8位に中村選手、9位に坂野選手、10位に塚本選手、スタート違反によるドライビングスルーペナルティを受けた林選手が11位となった。

#66野島選手は前戦に続き、公式予選1番手でコースイン。事前練習で十分な手応えがあり、早めにタイムを出しておくにもクリアラップでアタックできるのは重要。6周目にベストタイムを記録した後も、他の誰よりも多い20周をノンストップで走行して好調ぶりを見せつけた。

第2戦、第3戦で2連勝を重ねた実績と確かな手応えが、野島選手の大きな自信となっている。今シーズン初のポールポジションからの決勝スタートにも動じることなく絶妙のクラッチミートで1コーナーに飛び込み、終始万全のレース運びを展開。

予選2番手の#52安田選手のマシンにトラブルが発生したこともあり、中盤以降はまさに独走態勢。「2番手以降の状況が分かってからは、レースに集中しなくてはいけないことは分かっていましたがヘルメットの中で口元が緩んじゃいました」と野島選手。4戦中3勝のアドバンテージは大きい。

我慢のレースを強いられた安田選手。「(マシンの不調で)野島選手に追いつけないと分かって作戦を切り替えましたが、後ろからのプレッシャーがきつくて…」。しかしながらS-FJ初年度とは思えない走りで2位のポジションを死守。「シーズンが終わったときにこの我慢が報われたと言えるように今後を戦います」と決意を口にした。

Results » 予選 決勝

Winners Interview

優勝

野島遼葵選手

「前戦同様、自分の意図通りに走るセッティングができていたので、マシンに対しての不安はなく、予選は余裕を持ってベストタイムを記録できました。6周目でベストが出ましたが、安田選手も本田選手も終盤までアタックを続けていたので、抜かれたらもう一度アタックできるようコース上で周回を重ねていました。決勝は1コーナーまでの加速が完璧に決まり、2周目以降は安田選手が離れてしまったので、ありがたい展開になりました。予選でポールを取り、決勝ではトップで1コーナーに入ることができれば自ずと勝ちにつながるので、次戦もこの調子で戦います」

2位

安田 航選手

「S-FJカテゴリーで初めての夏のレースでしたが、体力的には厳しさを感じる場面はありませんでした。ただ予選では新品タイヤの割に路面のグリップがあまりよくなかったように感じました。実は予選中にも左コーナーのミスファイヤ症状が出ましたが、ピットで再発しなかったので大丈夫だろうと判断しました。結果的に決勝レースは3周目からは後ろを抑える作戦に切り替えましたが、残りのシーズンを戦ってチャンピオンを獲得したときに“今回の2位が大事だった”と言えるように次戦も頑張ります」

3位

本田千啓選手

「予選は単独でタイムを出していく予定でしたが、路面もタイヤも練習走行時のフィーリング違っていて、小さなミスを重ねたことも加わり焦りが出ました。気持ちを修正するより“今ここで挽回しなくては……”と前のめりになったのが3番手という結果になったと思います。決勝では2番手に仕掛けるタイミングを逸しているうちに4番手に追いつかれてジレンマを抱えた面倒なポジションになりましたが、前後を挟まれた位置でも落ち着いて冷静なレース運びができたのは収穫でした。次は予選から前に出るレースをします」

Winners Interview ~MASTERS~

MASTERS 1位

秋山健也選手

「暑さが厳しい中で体力的には問題はありませんでしたが、他車と接近することで水温が上がりやすくなりエンジンも熱ダレしてくるので、我慢のレースになりますね。今シーズンは周りのドライバーが速くなっていることもありますが、予選でポジションが上げられないレースが続いています。今回は前が詰まっていたので5位集団の中でレースができましたが、そこから抜け出てレースを引っ張れるほどではなかった。シーズンも後半に入るので、気持ちをリセットして臨みます」